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菅豊教授が山東大学・韓国高等教育財団主催『山東論壇2016』(山東大学)で招待講演

報告

 菅豊教授が山東大学で開催された山東大学・韓国高等教育財団主催『山東論壇2016』において招待講演「囲繞東亜国家的合作與競争—作為跨国文化的錦鯉鑑賞文化的協同創造活動—」(パネル:「東亜体系與区域認同」)を行ないました。当日、このパネルには80名ほどの研究者・大学院生が集まり、活発な議論が交わされました。

発表要旨

 錦鯉は、現在、世界にその愛好者をもつ観賞魚である。それは19世紀初頭には日本の新潟県の山間地において創り出された地方の民俗文化であった。それは徐々に日本の国内に広まり、国魚という日本の「伝統文化」へと昇華し、さらにそれは海外へ輸出、移転された。その過程で錦鯉文化は、日本文化のステレオタイプの象徴として本質化されつつ、一方で脱国籍化して到達した世界各地の社会・文化的文脈に応じて個々に現地化している。その文化の受容携帯は地域によって異なり、たとえば、日本から遠く離れたヨーロッパではオリエンタリズムの延長線上でとらえられている。一方、日本に近い中国などの東アジアでは、ナショナリズムとも重なり合った「自文化」化、文化の奪いといった現象を、自然科学も巻き込みながら生じさせている。本論では、文化のグローバリゼーションのなかで展開される文化拡散について検討し、文化の多様な脱国籍化、現地化、そして異種混淆性(Hybridity)という現象に見られる競争、文化所有の主客の動的な逆転や双方向的なせめぎ合いについて考察し、そのような動きが総体として新しい文化を生み出す協働的創造活動であることを明らかにする。

当日の様子

開催情報

日時: 2016年10月22日(土)

場所: 山東大学中心校区・知新楼校董庁

主催: 山東大学・韓国高等教育財団



登録種別:研究活動記録
登録日時:MonOct2416:48:512016
登録者 :菅・川野・藤岡
掲載期間:20161022 - 20170124
当日期間:20161022 - 20161022