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11月16日に第1回アジア社会学コンソーシアムのスピーチを行いました

  2011年11月16日の午前10時から12時半まで、東洋文化研究所3階第一会議室で、第1回目のアジア社会学コンソーシアムによるスピーチが行われました。

第1回目のアジア社会学コンソーシアムによるスピーチ
                       写真 スピーチの風景

 講師は韓国・又石大学校教授の宋在薫氏。スピーチは韓国語で行われ、日本語の通訳がつきました。タイトルは「韓国企業の対中投資20年:企業行動比較からの評価と展望」。おもに2010年に実施された中国企業を対象にした調査データをもとに、中国における韓国企業のプレゼンスや評価、及びその歴史的変化について紹介されました。その主要な論点は、(1)韓国イメージを語る際に文化(=韓流)のもつインパクトが大きくなっている、(2)韓国企業のイメージや評価は総じてよいが、中国企業の台頭ゆえに、その相対的優位性が揺らぎつつある、(3)経営現地化が求められているものの、日本企業に比べて韓国企業の集権化の度合いが強く、これがストライキの多発などと関係している、(4)韓国企業の企業文化として抱かれているイメージに「早く、早く(パリパリ)」があるが、これからは処理スピードだけでなく、質を伴う経営が必要となってくる、(5)そのためには日韓の連携も重要になるだろう、など多岐にわたります。

 これを受けて、コーディネーターの園田教授から、2001年と2010年に日本、韓国、台湾の中国進出企業で働く駐在員を対象にした質問票調査の結果から、(1)日本に比べて韓国から派遣される駐在員は現地への適応に積極的であるが、(2)これも日韓の教育市場で輩出される人材の性格が異なっているからではないか、(3)日本企業で分権化が進み、現地サイドの力が強いのは、本社は自分たちですべてを管理することができないと思っているからではないか、などの点が指摘されました。
 フロアから、宋氏が用いたデータの特徴や日韓の現地化の度合いの違いについての解釈、日韓連携の可能性などについて質問が出され、2時間半があっという間に過ぎました。いつもながら、比較の視点から問題を掘り下げることのむずかしさと面白さを感じるスピーチとなりました。


開催情報

日時  2011年11月16日(水)午前10時~12時半
場所  東洋文化研究所3階第一会議室
     http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/access/index.html#detail
講師    宋在薫(SONG, Jae-hoon)・又石大学校教授
タイトル 「韓国企業の対中投資20年― 企業行動比較からの評価と展望」
言語    韓国語(日本語通訳付き)
コメンテーター 園田茂人教授(東京大学大学院情報学環・東洋文化研究所)
責任者 園田茂人教授



登録種別:研究活動記録
登録日時:MonNov2108:39:122011
登録者 :園田・藤岡
掲載期間:20111116 - 20120221
当日期間:20111116 - 20111116