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上田遥助教が2025年度日本農業経済学会学術賞を受賞しました

上田遥助教の著作『食の豊かさ 食の貧困』(2024年、名古屋大学出版会)が、2025年度日本農業経済学会学術賞に選出されました。日本農業経済学会は1924年(大正13年)に創設され、100年以上の歴史を有する日本の社会科学系の中でも、もっとも伝統のある学会の一つです。本学術賞は、農業経済学に顕著な学術的貢献をなした著作を表彰するものであり、農業経済学分野においてもっとも栄誉ある賞です。2025年3月29日(土)、2025年度大会(開催:日本大学)にて表彰式が執り行われました。
(日本農業経済学会ウェブサイト:https://www.aesjapan.or.jp/about

 

【選考理由】
本選考対象研究業績は、社会的にきわめて重要であるがこれまで農業経済学分野では十分に検討されずにきた「食の豊かさ」や「食の貨困」という問題に、これまで発展途上国に限定されがちであったアマルティア・センの潜在能力理論を基礎として理論化を図り、日本を対象として実証を試みた労作である。本選考対象研究業績は、3部12章(終章を含む)から構成されているが、日本においては受容が遅れている食の倫理学や食の社会学について、豊富な外国語文献をふまえながら学説史として紹介した点も本選考対象研究業績の大きな貢献と言える。実証面では、全国市民約1,000名のアンケート調査や都市圏在住のシングルマザーのインタピュー調査などをもとに現代日本の「食の豊かさ」「食の貧困」の具体的実相の解明を試みた点などは特筆に値する。以上から、本選考対象研究業績は学術的にも社会的にも高く評価される。そのため、本学会の学術賞に値すると判断される。

【受賞者コメント】
日本農業経済学会学術賞という素晴らしい賞を頂戴し、大変光栄に思います。「農業経済」の問題を扱う著作が本賞対象作として代々選出されてきた中、「食の豊かさ 食の貧困」という新たなテーマを扱う拙著が選出されたこと、農業経済学界として今後研究が必要となる道を示して頂けたこと、大変励みになります。この賞は私個人ではなく、本研究を支えてくれた多くの方々、とりわけ本研究に参加協力頂いた53名のシングルマザー、彼女らの日々の食卓での奮闘や葛藤、努力を賞賛して贈られたものです。シングルマザーのみならず、シングルファザー、高齢者、若年層など様々な社会集団の「食の貧困」実態に関する研究が圧倒的に不足しています。本賞がこうした問題にさらなる社会的・学術的関心を引き出すきっかけになることを心より願っております。

 



登録種別:研究活動記録
登録日時:MonMar3110:07:312025
登録者 :上田・多田
掲載期間:20250331 - 20250631
当日期間:20250329 - 20250329