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ワークショップ「日韓協力イニシアティブ2.0:構造的課題と共同対応戦略」が開催されました

報告

2026年6月17日、東京大学東洋文化研究所と国民大学校日本学研究所の共催により、非公開のワークショップ「日韓協力イニシアティブ2.0:構造的課題と共同対応戦略」が開催された。本イベントでは、経済安全保障と人口構造の変化という、日韓両国が直面する二つの大きな構造的課題に対し、いかに共同で対応すべきかを議論した。

経済安全保障とサプライチェーンをテーマとしたセッションでは、世界経済の分断化が進む中での日韓協力のあり方が模索された。朴盛彬教授(亜洲大学)は、経済安全保障の対象が、領域・対象国・産業技術分野の三次元にわたって急速に拡大し複雑化していることを指摘した。具体的事例として水素サプライチェーンにおいて、日韓は輸入依存という共通の課題を抱えており、オーストラリア等の第三国における共同調達や国際規範形成での協調が不可欠であると主張した。続いて三浦秀之教授(杏林大学)は、日韓関係が「地理的近接性」から、価値や信頼に基づく「地政学的距離」を重視する段階へ移行したと指摘した。またAI、半導体、重要鉱物、エネルギーを一体的に捉える経済安全保障構想、「パックス・シリカ(Pax Silica)」における日韓の協力の可能性を紹介した。
日韓は先端半導体産業において「川上(素材・装置)」と「川下(量産)」の相互補完関係にあり、経済的威圧に対する「集団的自律性」や、CPTPPを通じた制度的な連携強化への期待もあることを指摘した。討論では、宇宙領域への安保拡大や「地域レジリエンス」の共有に加え、セキュリティ・クリアランスの整備や日米韓の実務的な政策調整の強化といった具体的な課題が浮き彫りとなった。

人口構造の変化と地域消滅に焦点を当てたセッションでは、福田節也氏(国立社会保障・人口問題研究所)が、日本の出生率低下や単身世帯の増加といった最新動向を報告し、ジェンダー格差の解消が「ジェンダー配当」として社会保障の持続可能性に大きく寄与する試算を示した。続いて金城兆教授(延世大学)は、定住人口の奪い合いから関係人口を重視する「居住人口3.0」への転換を提唱し、島留学などの日本の成功モデルや韓国の廃坑跡を活用した文化再生事例を紹介した。さらに、日韓共同の学位プログラムや、若者の地方での活動を支援する「モビリティ・クォータ(Mobility Quotas)」、スマート農業を通じた労働力不足の解決といった、国境を越えた実務的な協力案を提言した。討論では、AIによる労働力の補完可能性や、外国人労働者の獲得を巡る両国の競合と調整、さらに成功モデルの広域的な横展開について、持続可能な社会に向けた活発な議論が交わされた。

 

当日の様子

 



登録種別:研究活動記録
登録日時:MonJun2913:27:232026
登録者 :佐橋・神足・神林
掲載期間:20260707 - 20261006
当日期間:20260617 - 20260617