News

「Politics of the “Global South”: China’s Narrative and the Indian Question」が開催されました

報告  

   本ワークショップでは、高橋知子氏(本研究所専任講師/日本学術振興会海外特別研究員)が行っている二つの共同研究を「グローバル・サウス」と中国・インドの関係というより大きなテーマのもとで報告するものであった。最初に、平成記念助成金の共同研究を代表して、周源氏(岡山大学講師)が“ Constructing the Global South: China’s Counter-Hegemonic Narrative Strategy Across State Media and Academic Journals”と題した論文を報告し、Daniëlle Flonk氏(一橋大学講師)がコメント、さらにフロアからの質疑応答が行われた。そのあと、科研費基盤Bの共同研究を代表して、高橋知子氏が“Exogenous Voices and State Autonomy: China at the Nexus of Domestic and Global Governance of the Internet”と題した論文を報告し、周源氏がコメントし、質疑応答も行われた。
参加者は、登壇者も含めて会場14人、オンライン10人前後であり、およそ11か国から構成され、盛況であった。
   なお、共同研究の具体的なチームは下記の通りであり、海外をベースとしている研究者を含めて4人が対面参加、また1人がオンラインにて参加した。

(1)国際科学技術財団 平成記念研究助成 2025年度採択 「変動するグローバル秩序における中国とインド: 『グローバル・サウス』をめぐるリーダーシップの競合」(研究代表者:高橋知子(東京大学講師)、共同研究者:周源(岡山大学講師)、Raphaëlle Khan(ニューヨーク市立大学助教)、Juan Acevedo-Ossa(ニューヨーク市立大学博士候補生、ポスドク内定))

(2)日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 2025年度採択 “Hollow multilateralism: How autocracies contest norms and procedures of international organizations” (研究代表者:Daniëlle Flonk(一橋大学講師)、共同研究者:高橋知子(東京大学講師))

前半では、周源氏が、(1)のグループを代表して、近年、中国外交にて使用されるようになった用語としての「グローバル・サウス」の起源をたどった。本稿は、その使用状況をテキスト分析によって定量的に明らかにするものであり、内容としては、開発や発展よりも西側諸国への政治的立場を示すために使われていること、また国家メディアと学術論文という2つの異なる文脈において創出されていることが明らかにされた。これに対し、Daniëlle Flonk氏は、その理論的枠組みについて論点やアイデアを提示し、特に新しい概念を持ち出すことの意義や、その主たるアクター、オーディエンスについて問いかけた。オーディエンスからは、この現象を、米中関係やインドの対途上国外交の文脈でどう理解すべきかという問いや、他国のレトリックや他の用語との比較の文脈が提起された。

後半では、高橋知子氏が、(2)のグループを代表して、中国が国内では一元的な規制を強めるインターネットガバナンスだが、対外的には、積極的にガバナンスの多様性を謳っていることについて、その要因を、中国の新聞や国際会議における言説のディスコ―ス分析を通じて明らかにした。これに対して、周源氏は、国内外のガバナンスの意義の違い、また何を以て、政府にとって外生的な「声」と見ることができるのか、といった論点について討論を行った。そのあと、オーディエンスからは、戦略的なレトリックと具体的なガバナンスの在り方の違いや、中国の事案がほかの権威主義体制についてどの程度敷衍可能であるかについて、論点が挙げられた。

会議の休憩時間や、終了後には、中国、インド、グローバル・サウスという世界秩序を構成する各国・地域が、いかなる外交を展開しているかについて関心を持つ登壇者・参加者の間で、活発な意見交換がなされた。一見して同じ用語である「グローバル・サウス」を論じているときも、その外交上の意義づけがアクターによって全く異なることや、同じ国の中でも、コンテキストによって複雑に変化していることなどが議題となった。(文責:高橋知子)

 

当日の様子

開催情報

日時:2026年5月26日(火)10:00–12:30
会場:東京大学東洋文化研究所3階第1会議室(304)ハイブリッド開催
発表者:(1)Yuan Zhou (共著者は Tomoko Takahashi, Raphaëlle Khan and Juan Acevedo-Ossa)>討論は Daniëlle Flonk
(2)Tomoko Takahashi (共著者は Daniëlle Flonk) >討論はYuan Zhou
言語:英語
司会:Tomoko Takahashi
主催:This workshop is hosted by (1) the Heisei Kinen Commemorative Grant, Japan Prize Foundation and by (2) JSPS KAKENHI Grant Number JP25K00611.



登録種別:研究活動記録
登録日時:MonJun2213:10:192026
登録者 :髙橋・廣田・神林
掲載期間:20260623 - 20260922
当日期間:20260526 - 20260526