東洋文化研究所では、復旦大学文史研究院との学術交流協定に基づき、同研究院の張佳先生と段志強先生を招聘し、下記の要領にてセミナーを開催いたします。
日時: 2015年1月8日(木) 14:00-16:30
会場: 東京大学 東洋文化研究所 3階 第1会議室
講師: 張 佳 (復旦大学文史研究院、助理研究員)、段志強 (復旦大学文史研究院、助理研究員)
題目:張 佳 「明朝初期の漢族元朝遺民」
段志強 「清朝後期の中国における禁書の閲覧」
司会:高見澤 磨(東洋文化研究所 所長)
コメンテーター:大木 康(東洋文化研究所 教授)
使用言語: 中国語(適宜日本語通訳あり)
要旨:
張 佳 「明朝初期の漢族元朝遺民」
元朝から明朝への王朝交代は、統治民族群の変化を特徴とする一方、大量の漢族元朝遺民を生み出した。本報告は詩文集の中にある零細な史料の分析を通じて、多くの漢族元朝遺民に見られた行動を、北に向かい北元に投ずる、出家して僧侶や道士になる、明朝に出仕することを拒む、明朝の暦を用いないなど、漢族元朝移民に良く見られる行動様式をまとめ、その一群の人々の全体像を示す。大量の元朝遺民の存在により、明朝新政権は政治的合法性に問題を生じるに至った。官史の編纂にあたって元朝の歴史を故意に歪曲する、厳格な法律を制定して士人たちを強制的に出仕させる、民間礼俗を粛清するなど、明代初期にみられる重要な史実の発端はすべてこうした背景から合理的に解釈することができるのである。
段志強 「清朝後期の中国における禁書の閲覧」
清朝前期、厳酷な文化政策により、大量の書籍の出版、流通、閲覧が禁じられ、これらの書籍は嘉慶朝以降になってようやく再度現れ始めた。これは近世文化史上重要な現象であり、本報告は浙江省海寧地区の公私記録を用いて、この現象に関わる歴史を再考する。
皆様のご参加をお待ちしております。どうぞ宜しくお願いいたします。
担当:高見澤