下の要領で東文研セミナーが開催されますので、ご案内いたします。
【日時】:2015年2月20日(金) 午後4:00-6:00
【会場】:東京大学 東洋文化研究所 3階 第1会議室
【講師】: Achim Bayer(東國大學校教授)
【題目】:合理的思考の要素:『清浄道論』(Visuddhimagga)における「想」の説明について
【使用言語】:日本語
【要旨】:
アビダルマ文献によると、「想」という心所の働きは、内と外の世界を理性的に把握することである。すなわち、「想」は、感覚的データを有意味な単位に組織化し、その単位から世界の把握を組み立てる。「想」とともに認識された世界は、感覚的データの未組織なかたまりではなく、特定の姿、音、匂い、味、感触を備えた識別可能な対象群から成っている。
しかしながら、「想」の定義を細かく検討すると、幾つか疑問が湧く。たとえば、想は「意言」、つまり心中の言葉を常に伴っているのだろうか?また、想の対象になる「相」は具体的に何である?想は瞑想や睡眠、無意識の状態においても持続するのだろうか?そして、想は仏教の解脱論においてどのような役割を担っているのだろうか?
「想」はそもそも、世界の様相を理性的に捉えるための本質的な要素であり、仏教の論理学や解脱論などの基盤であるにもかかわらず、インド仏典における「想」の説明は通常、ごく簡単な定義にとどまっている。一方、ブッダゴーサの『清浄道論』(Visuddhimagga)には「想」に関する詳細な説明が見出される。本発表は、『清浄道論』を手掛かりとして、小乗・大乗双方の仏教思想を再考する。
担当:馬場