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平成12年度第3回定例研究会

日時  9月28日(木)午後2時
場所  東京大学東洋文化研究所 大会議室(3階)
題目  文明周縁部における「宗教」の現在
    −ネパール、ビャンス地方の状況を事例に−
報告者 名 和 克 郎(東洋文化研究所助教授)
司会  関 本 照 夫(東洋文化研究所教授)
討論者 永ノ尾 信 悟(東洋文化研究所教授)
発表要旨
 かつて人類学者にとって、当該社会の宗教の記述分析はほぼ自明の作業領域であった。とりわけ文明周縁部の諸社会を巡る議論では、宗教はしばしば、独自の伝統と大伝統からの影響の合成物として描かれてきた。 だが近年、こうした議論は多方面からの懐疑にさらされている。第一に、人類学者の対象とする人々の多くが孤立した未開社会に住んでいる訳ではないことが明らかになるにつれて、○○族の宗教なるものを単純に前提することが問題視されるようになった。第二に、大伝統と小伝統との分割自体が、必ずしも現地の人々の意識とは一致しない学者の側の恣意的な弁別である可能性が指摘された。第三に、西洋起源の「宗教」 概念が持つバイアス自体も問題にされている。だが以上三つの批判は、実際にフィールドワークで出会う状況との関係で、しばしば人類学者の議論にもう一段のねじれを生み出すことになる。現地の人々自身が自分たちの「宗教」を他の人々とは異なる独自の存在として、或いはある大宗教の一形態として説明する可能性、またそうした説明をするにあたり既に「宗教」の概念をある程度受け入れている可能性があるからだ。 本発表では、ネパール極西部ビャンス地方の調査資料を基に、そうしたねじれのありようを具体的に検討する。



登録種別:研究会関連
登録日時:Mon Aug 14 14:58:43 2000
登録者 :研究協力掛
掲載期間:20000814 - 20000928
当日期間:20000928 - 20000928