【日時 / Date】10月16日(木) 17:00-18:00
【会場 / Venue】東京大学 東洋文化研究所 1階 ロビー
【報告者】
伊藤未帆(東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ [EALAI]・特任講師)
【題名 / Title】
私立学校はなぜ潰れるのか? ―移行経済期ベトナムにおける公・私関係の再編成
【要旨 / Abstract】
1986年にドイモイ政策を導入したベトナムでは、教育や医療などの公共福祉領域に、いかにして私的資源を動員するかが重要な課題となっている。とりわけ教育分野では、1997年の「教育の社会化」政策の導入を待たずして、1990年代初頭から私立学校の市場参入が認可され、高まる進学熱の受け皿としての機能を果たすことが期待されてきた。ところがこうした政策面での積極的対応にもかかわらず、「私立学校」の存在は依然としてベトナム社会に定着せず、近年ではその財政的基盤を維持することができずに相次いで潰れていくという状況が生じている。
本報告では、こうした移行経済期ベトナムにおける私立学校の非定着という状況を、市場主義経済導入以後の社会主義国家における公共福祉領域の再編成と、アジア的文脈に照らしてみた公と私のかたちの「変容」に着目して明らかにすることを目的とする。
【コメントテーター】 池本幸生 氏 (東京大学 東洋文化研究所 教授)Yukio Ikemoto (Professor, The University of Tokyo)