今回の研究会はエジプトにおけるイスラーム美術に関連する2発表が行われたが、いずれも現在進行中の研究・調査の中間発表となった。数多くの出席者を得て、エジプトにおけるコプト、イスラーム美術への関心の高まりを実感した。
一つ目は、東洋文化研究所の桝屋友子が倉敷市大原美術館所蔵のフーケ・コレクション陶器片に関して概略を紹介した。これらの陶器片はフランス人医師フーケが1886年以来カイロで収集した陶器片で、1922年に児島虎次郎がパリにて購入した大変貴重な、イスラーム期の陶器片約400点である。初期的調査を経て、調査メンバーと共に今後詳しい分析を行っていく予定である。
二つ目は、早稲田大学国際教養学部講師の小林一枝氏が長年携わってきた『アラビアン・ナイト』の表象世界に関する発表であった。ヨーロッパにおける翻訳・挿絵表現も含めてこれまでの『アラビアン・ナイト』の文学史・表象史を概括した上で、自身の研究テーマである貴重な挿絵入り写本の絵画の特徴について述べた。出席者全員が初めて目にする画像は大変興味深く、今後の論文発表が待ち遠しい。
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「大原美術館所蔵のフーケ・コレクション、イスラーム陶器片概要」
桝屋友子(東京大学東洋文化研究所・教授)
「エジプトのアラビアン・ナイトとその表象世界」
小林一枝(早稲田大学国際教養学部・講師)
日時: 2015年10月26日(月) 15:00~18:00
場所: 東京大学東洋文化研究所 3階第一会議室 (参加無料)
東京大学東洋文化研究所班研究「イスラーム美術の諸相」( URL )
早稲田大学イスラーム地域研究機構 ( URL )
人間文化研究機構(NIHU)プログラム・イスラーム地域研究早稲田大学拠点 ( URL )
担当:桝屋