News

東京大学東洋文化研究所・JICA研究所合同シンポジウムのご案内(7月8日)

東京大学東洋文化研究所・JICA研究所合同シンポジウム

『戦後日本における対外経済協力の原点』

日時:2010年7月8日(木)午後6時~8時

場所:JICA研究所4階400号会議室

参加費無料

(主催:科研費「戦後日本の被援助・開発経験の相互作用的研究:1950年代を中心に」、共催:JICA研究所)

【趣旨】日本経済が逼迫する中で、なぜ日本は援助をするのかという根本的な問いが浮上しつつある。この問いに答えていくには、そもそも援助が日本の復興に果たした役割を理解しなくてはならない。本シンポジウムでは科研費「戦後日本の被援助・開発経験の相互作用的研究:1950年代を中心に」(研究代表者:佐藤仁)の中間的な成果を提示し、「援助をもらいながら援助を出す」という特異な経験を経てきた日本援助の源流に迫る。同時に、単なる歴史認識としてではなく、今日の中進国による援助の在り方、あるいはこれからの日本援助の方向性について示唆を得ることを目指す。


報告①「『日本の援助の源流』像を再構築する:池田・ロバートソン会談に見る日本再生ヴィジョンと対外援助の位置づけ」下村恭民(法政大学) 

【要旨】「日本は、経済成長の進展とともに、援助受入国から援助供与国に転換した」という一般的な認識があるが、昭和20年代に日本の政治指導者(吉田、岸、池田)や政府各省の政策責任者が、さまざまな形で提示した「日本再生ヴィジョン」には、「国際社会からの援助受入」と「アジアに対する日本の対外援助・経済協力」とが、パッケージで組み込まれていた。報告では、サンフランシスコ講和条約後の日本の進路を規定する広範な問題を、日米間で討議した池田・ロバートソン会談(1953年)に焦点を当てつつ、当時の政治的指導者や政策責任者が、立場の相違を越えて共有していた「対外援助の発想」とその意義を考察する。

報告②「世界銀行の対日融資:根釧パイロットファーム事例報告」藤倉良(法政大学・JICA研究所)・中山幹康(東京大学)

【要旨】1956年に貸付契約が締結され,農地開発機械公団が受益企業となった地域開発プロジェクトのうち,北海道の根釧パイロットファームについて調査を行なった。借款は,開墾用機械とジャージー牛の購入にあてられた。同プロジェクトは日本に機械開墾が定着する契機となり,それまで人力で行なっていた開墾の著しい効率化が可能となった。また,入植者は2倍以上の応募者から資金や能力で選抜したため,能力は高く,入植前に実施された合宿研修で連帯感も形成されていた。一方で,当初計画されていた個別営農面積が小さかったために酪農家としての経営が成り立たず,離農を余儀なくされた入植者も少なくなかった。さらに,国策としてジャージー牛を導入したが,現地での気候にあわなかった。しかし,これがコンディショナリティとなっていたため,ホルスタイン種への転換が遅れた。

報告③ 対外援助と国内事情:戦後日本の「ドナー化」と中進国への示唆  佐藤仁(東京大学・JICA研究所)

【要旨】諸国はいかなる国内事情によって外国に援助を送り出すのか。対外援助に関する既往研究の多くは、それが裨益対象国そのものにどのようなインパクトを与えたのか、という点に焦点を置いてきた。しかし、それらは「援助」の存在を所与として、援助という特定の手段を選ばせた供与国側の国内外事情に踏み込むことが少ない。この報告では、1950年代から60年代の日本を事例に対外援助と国内事情、とりわけ国内資源の関係を当時の政策担当者らの意識に迫りながら読み解き、援助と国内事情とがどのような思考回路を通じて結び付けられていたのかを検討する。


討論者:佐藤寛(アジア経済研究所)

小林誉明(国際協力機構)

参加申し込み&問い合わせ先:王智弘(Oh-Tomohiro@jica.go.jp
mailto:Oh-Tomohiro@jica.go.jp)

* 会場の都合上、定員に達した段階で申し込みをお断りすることがあります。あらかじめご了承ください。

* 参加申し込みをされた方に、追って詳細をご連絡します。


登録種別:研究会関連
登録日時:Fri May 28 11:27:40 2010
登録者 :研究支援担当
掲載期間:20100528 - 20100708
当日期間:20100708 - 20100708