2016年12月1日(木)の午後、東洋文化研究所の自己点検・評価セミナーの一環として、桝屋友子教授(西アジア研究部門)による報告「日本でイスラーム美術史を研究すること」が行われた。
1999年に東文研に着任して以来の仕事を振り返りながら、桝屋教授はイスラーム美術史に関する調査・研究の成果として、(1)イラン・イラクがモンゴル人に支配されていたイルハン朝時代の美術(タフテ・ソレイマーンの宮殿における建築・タイル装飾)、特にモンゴル人がもたらした東アジア的な要素、(2)イスラームの写本・絵画(歴史集成・皇帝の挿絵を含む中国史に関するアラビア語の写本)、(3)大原美術館(岡山県倉敷市)が所蔵しているエジプトのフスタートから出土した陶器片について、約1時間半にわたる説明を行った。
また、セミナーでは、高見澤磨所長(東洋文化研究所・教授)が司会、長澤榮治教授(同研究所)および真道洋子研究員(公益財団法人東洋文庫)がコメンテーターを務めた。長澤教授はイスラーム美術の定義や人々の心を惹きつける魅力について、真道研究員は美術史と考古学の相違や両者の歩み寄りについてそれぞれコメントを行い、両氏によるコメントに引き続き、約30名の参加者を交えて、写本の挿絵の年代や参考の対象、中国の歴史書に挿絵を入れる習慣があったかどうかなどの問題をめぐって活発な議論が行われた。
この後、評価委員会による評価の結果を、研究所ホームページによって公表する予定である。
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【日 時】2016年12月1日(木)午後2:00~4:00
【会 場】東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室
【題 名】日本でイスラーム美術史を研究すること
【報告者】桝屋 友子 (東洋文化研究所・教授)
【司 会】高見澤 磨 (東洋文化研究所・所長)
【コメンテーター】長澤 榮治 (東洋文化研究所・教授)
【コメンテーター】真道 洋子 (公益財団法人東洋文庫・研究員)
【使用言語】日本語
【要 旨】
報告者は東洋文化研究所着任以来、日本では美術史の分野においてもイスラーム地域研究の分野においても研究者の少ない小分野であるイスラーム美術史を敢えて研究する意義を自らに問いかけながら研究してきた。このような視点からこれまでの自身の研究の成果を振り返ると共に、今後進めていく研究の展望について述べたい。
担当:桝屋