福岡県の田川市美術館で開催された企画展「コールマイン未来構想Ⅱ」(2025.12.6~2026.2.1)に富山妙子の作品が出展されるのに合わせて、真鍋研究室所蔵の富山寄贈資料を展示用に貸与すると同時に、会期中に刊行された真鍋監修『越境のアーティスト 富山妙子』の出版記念イベントとして、田川市美術館AVホールにおいて、2025年12月28日から26年1月25日まで、毎日曜日に共同研究者らによる連続出張講座を共催した。講座に先立っては、2025年春にHDリマスター版として一般公開された、富山らの制作による映画『自由光州-1980年5月』(1981年)と『はじけ鳳仙花―わが筑豊わが朝鮮』(1984年)が上映された。
連続出張講座の内容は次の通りである。
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第一回 12月28日
トークテーマ:『富山さんの「理不尽を見過ごしてはいけないわよね、表現者なら」との思いから始まった2本の映画について』
講師:小松原時夫(株式会社モンタージュ社長)
聞き手:田村元彦(西南学院大学)
第二回 1月4日
トークテーマ:「東京から来た女性/画家──富山妙子と炭鉱」
講師:徐潤雅(大阪経済法科大学)
第三回 1月11日
*講師の体調不良により、18日に延期
第三回・第四回 1月18日
①トークテーマ:「響き合い、すれ違うまなざし──富山妙子と上野英信・交流の軌跡」
講師:金子毅(聖学院大学)
②トークテーマ:「筑豊から世界へ:富山妙子の画家人生について」
講師:レベッカ・ジェニスン(京都精華大学)
第五回 1月25日
トークテーマ:「〈光州〉から照射された〈筑豊〉の意味-“自分の存在を込めて語れるもの”として」
講師:真鍋祐子(東京大学)
参照:田川市美術館HP https://tagawa-art.jp/schedule/tomiyama-taeko_book-launch-seminar/
30席ほどの会場には県内外から熱心な市民や研究者、美術家らが訪れ、なかにはリピーターもいたようである。73分にわたる映画鑑賞の余韻が後を引くなかでの講演では、演者と聴衆のあいだで活気あるやりとりが展開された。ことに美術史家として富山に密着した研究を続けてきた徐潤雅氏、レベッカ・ジェニスン氏による講演終了後のギャラリートークは大好評であった。
この企画は研究活動の社会的還元の一つとして試みたものだが、ことにそうした機会が行き届きにくい地方の美術館で実施することに、より意味があると考えた。ホームページにイベント情報を掲載すると市外はもとより県外からも参加者があるという担当学芸員の言葉のとおり、本企画でも講座とギャラリートークを目的に遠方からの来訪者があったと聞いている。その意味で、本企画の意図はある程度達成されたと考えている。
なお連続出張講座の実施は、佐原伸様より真鍋研究室にご寄付いただいた浄財によって実現された。佐原様には厚くお礼申し上げる。
写真1:講演会場の様子(1月25日)
写真2 講演の様子(1月25日)
写真3 ギャリートークの様子(1月4日)
写真4 ギャラリートークの様子(1月18日)
*写真提供:田川市美術館