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国際シンポジウム 「コリアン・ディアスポラの記憶を手繰る-『犠牲の状況』を超えて-」開催のお知らせ

日時 : 2012年3月3日(土) 12:30-17:30
会場 : 東京大学生産技術研究所 An棟2F コンベンションホール http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/map/komaba.html
主催 : 東北アジア研究会
後援 : 東文研・ASNET


開催概要 :
 コリアン・ディアスポラとは、在日を初めとする在外コリアンだけを指すのではない。日本の植民地支配と戦争によって故郷から離散し、客地にその身も魂も埋もれさせたままいまだ捨て置かれている従軍慰安婦や炭鉱夫、また分断された祖国に引き裂かれて暮らす離散家族も、イデオロギー対立によりアカと名指され、非業の死を遂げ、名誉復権されることなく地下に下った光州市民も、生と死を超えたところにある広い意味でのコリアン・ディアスポラである。
 不条理な状況に置かれた人びとの封印された「ことば」や、現実と折り合いがつかないまま言葉にもならない「ことば」、やり場のない腹立ちを暴力に訴えるしかない「ことば」などが、ナラティヴ・アートとしての映像や絵画にどのように織り込まれているか、映画監督・グスーヨン、画家・富山妙子という二人のアーティストを招き、対話を通してコリアン・ディアスポラの記憶を手繰る。
 これまでの両氏の扱いはなべて周縁的であったといわざるをえない。西洋美術を本流とみなす日本画壇にあって、アジアに軸足をおきながら植民地支配と戦争をモチーフとする富山妙子の作品は40年間、異端の扱いを受けてきた。グスーヨンが初監督作品『偶然にも最悪な少年』を発表した2003年は、『GO』『パッチギ!』など朝鮮学校を舞台とした作品のヒット、映画界における朝鮮学校卒業生たちの活躍により、在日の表象として「朝鮮学校」が急速に前景化した時期にあたる。それだけに、むしろ沈黙する圧倒的多数の在日たちの群像を、いかなる意味の詮索も拒絶しつつ、ただ「そういうモノ」として描き出すグスーヨンの作品は異色であり、もっと光を当てられてしかるべきだろう。
 犠牲の記憶を丁寧に手繰るよすがとするために、果てしない救いのなさに対する割り切れなさ、明確な言葉に落とし込めないもどかしさが後を引くような集いにしたい。


プログラム :
司会: 李静和(成蹊大学)

第一部「在日」から眺める-映画監督・グスーヨンとの対話-
 講演: グスーヨン「在日という〈偶然〉」
 『偶然にも最悪な少年』上映
 発表: 李建志(関西学院大学)
 「下関という〈境界〉を生きる-松田優作、そしてグスーヨン-」
 コメント 外村大(東京大学)

第二部 植民地と画家-画家・富山妙子との対話-
 『はじけ鳳仙花-わが筑豊わが朝鮮』上映
 対談: 富山妙子×河原ノリエ(東京大学)


*参加費無料です。奮ってご参加ください。

連絡先 真鍋祐子 manabeyuko[at]hotmail.co.jp



登録種別:研究会関連
登録日時:FriFeb1010:28:372012
登録者 :真鍋・藤岡
掲載期間:20120210 - 20120303
当日期間:20120303 - 20120303