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(12/9)東文研国際セミナー「歴史叙述の視点」が開催されました

以下のとおり東文研国際セミナー「歴史叙述の視点」が開催されました。

タイトル:「歴史叙述の視点」
報告者: 林少陽先生(香港城市大学中文系副教授)
司会者: 尾崎文昭(東京大学東洋文化研究所教授)
日時:   2010年12月9日(土)午後3時~6時半
場所:   東洋文化研究所3階第一会議室
主催:  東文研「世紀交替期中国における文化転形」研究班

共催:   科研費 基盤研究(B)「世紀交替期中国の文化転形に関する言説分析的研究」
       (代表:砂山幸雄  21320025)
言語:       日本語

(報告要旨)
12月9日、東文研「世紀交替期中国における文化転形」研究班の主催による
東文研国際セミナーが開催されました。
 講演のタイトルは、「明治日本の文学史叙述と中国:ヘーゲル主義の視点において」
でした。およそ20名の参加者を得て,1時間半の講演の後,2時間の活発な討論を
行いました。
 明治期に,ヘーゲル主義およびコント実証主義を背景に持つフランスのテーヌの
文学史観が導入されて,日本でも「文学」の観念が形成され,ナショナルヒストリー
として日本文学史の叙述が始まった状況,およびそれが日本での中国文学史を生んだ
状況,さらにそれが中国に紹介され,日本の中国文学史を下敷きにして中国での文学
史叙述が形成されていった状況が詳細に分析報告されました。
討論では,それに対し,立論に日本での東洋学(東洋史)の成立状況を組み込むこと
がのぞましい,清末に中国に渡った知識人たちの行動をもう少しフォローしたらいい,
などの提案がなされました。

林少陽先生:1963年に広東で生まれ,厦門大学外文系を卒業後,吉林大学大学院
修士課程で日本文学を学ぶ,その後東京大学総合文化研究科で博士号を取得。2004-
2010年の間,同教養学部で助手および特任准教授を務めた。現在,香港城市大学
中文系副教授。主著に『「修辞」という思想――章炳麟と漢字圏の言語論的批評理論』
(白澤社,2009年) があり,論文には「漢字圏文脈のモダニズム文学――近代修辞批評
の系譜における横光利一の批評理論について」(『比較文学研究』92号,2008),
「現代思想としての西脇の詩学理論--そのロマン主義とヘーゲル主義批判をめぐって」
(『思想史研究』9号,2008),「ナショナリズム「人民」から「国民」へ――中国の民族
主義を考える」(『世界』2006年12月号),「「文学」という概念――「文」「史」の学としての
夏目漱石の『文学論』」(『思想史研究』6号,2006) など多数がある。

 


登録種別:研究活動記録
登録日時:Fri Dec 17 15:26:36 2010
登録者 :研究支援担当
掲載期間:20101217 - 20101217
当日期間:20101217 - 20101217