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着任研究会「台湾の馬英九政権における大陸政策決定過程の運営に関する一考察:海峡両岸サービス貿易協議の締結を事例として」(黄偉修 助教)が開催されました

報告

  2016年7月21日(木)、黄偉修助教(東洋文化研究所 国際交流室)の着任研究会が開催され、「台湾の馬英九政権における大陸政策決定過程の運営に関する一考察:海峡両岸サービス貿易協議の締結を事例として」と題する研究報告が行われた。
  「ヒマワリ学生運動」とは、2014年3月に台湾で学生と市民グループが、中国との経済協定締結に反対して立法院の議事堂(日本の国会議事堂にあたる)を占拠した社会運動であり、 2014年の統一地方選挙、2016年の総統・立法委員(国会議員)選挙における 与党・中国国民党の敗北のきっかけになりました。「ヒマワリ学生運動」は、国民党の馬英九政権が、医療、金融、印刷などを含む、サービス産業の幅広い分野の市場を相互に開放し、参入を容易にすることを目的として中国と台湾が2013年6月に調印した『海峡両岸サービス貿易協議』の国会批准を、反対運動を無視して強行採決したことが引き金で発生した。
  黄氏は、政策過程論の視点から『海峡両岸サービス貿易協議』の決定過程を事例として、馬英九政権による大陸政策(対中政策)の決定過程の運営について考察を行った。黄氏は、まず台湾における大陸政策決定過程の運営が、総統(大統領)のリーダーシップに極端に依存しているという中華民国憲法下の大陸政策決定過程の制度的問題点を整理し、馬英九と少数の側近が中心となって官僚を起用しながら政策過程を運営する方式を描き出した。そして、『海峡両岸サービス貿易協議』を事例とした場合、この運営方式に調整と協議のメカニズムが欠落していること、中華民国の官僚の能力が低下していること、馬英九総統がバランサーの役割を果たしていなかったこと、この運営方式が失敗したことによって台湾内部で最も世論の支持を得ていた「対中経済交流が台湾の経済発展にとって重要である」というコンセンサスを崩壊させたこと等を指摘した。
  約30名あまりの参加者があり、報告に続いて中台関係について活発な議論が展開された。

当日の様子

開催情報

【日 時】2016年7月21日(木)午後2:00~4:00

【会 場】東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室

【題 目】台湾の馬英九政権における大陸政策決定過程の運営に関する一考察:海峡両岸サービス貿易協議の締結を事例として

【発表者】黄 偉修 (東洋文化研究所・助教)

【司 会】松田 康博 (東洋文化研究所・教授)

【使用言語】日本語


【概 要】
 「ヒマワリ学生運動」というのは、2014年3月に台湾で学生と市民グループ が立法院の議事堂(日本の国会議事堂にあたる)を占拠した社会運動であり、 2014年の統一地方選挙、2016年の総統・立法委員(国会議員)選挙における 与党・中国国民党の敗北の誘因ともなった。「ヒマワリ学生運動」のきっかけ は、国民党の馬英九政権が、医療、金融、印刷などを含む、サービス産業の 幅広い分野の市場を相互に開放し、参入を容易にすることを目的として中台 が調印した『海峡両岸サービス貿易協議』の国会批准を急いだことである。  本発表は、政策過程論の視点から『海峡両岸サービス貿易協議』の決定過程 を事例として、東アジアの安全保障を研究するために欠かせない、台湾の馬英 九政権における大陸政策決定過程の運営について考察したい。.

担当:黄



登録種別:研究活動記録
登録日時:FriAug1917:21:442016
登録者 :黄・松田・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20160721 - 20161021
当日期間:20160721 - 20160721