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東文研シンポジウム(共催:延世大学校博物館)「記憶の海へ―富山妙子の世界」が開催されました

報告


 2021年3月12日、延世大学校博物館との共催で準備を続けてきた富山妙子展「記憶の海へ―富山妙子の世界」が開幕し、開幕式とあわせて学術シンポジウムが行われた。
 コロナ禍により、こちらから出向いての作品展示が叶わなくなり、企画と運営のイニシアティヴは全面的に現地に託されることになった。そうした困難のなか、延世大の学芸員によって、富山作品が証言する「野蛮の記憶」として、「5つの記憶」-「戦争の記憶」「地の底の記憶」「詩人の記憶」「光州の記憶」「フクシマの記憶」-というコンセプトが提示され、これに沿って作品と関連資料の展示が構成された。延世大からのプレリリースを受けて有力紙・中央日報が報じるなど、開催前から広く関心を集めた。

 また延世大博物館も開幕に前後して複数の動画>を製作し、広報に力を入れてくれている。
https://www.youtube.com/watch?v=27sQ9XR4CsQ
https://www.youtube.com/watch?v=rWjspNP0xqo
https://www.youtube.com/watch?v=6QVHc876gTg


 開幕式に続く学術シンポジウムでは、まず90年代より富山と交誼を結んだ韓明淑・元国務総理、世界に先駆けて富山作品の学術的意義を英語圏で発信してきた萩原弘子・大阪府立大学名誉教授による基調講演が行われた。両者の登場はフェミニズムとポストコロニアリルの両面において、日韓の研究者、アーティスト、民主化運動活動家らの注目を広く集めた。続いて行われた日韓4名の研究者による学術報告は、まず富山妙子という作家と作品を広く周知することに主>眼をおいたため、あえて討論者をおかなかった。だが全体的に質の高いラインナップとなり、「ひとりの報告からまた新たな別のシンポジウムが始まるようだ」などの感想も聞かれた。開幕式およびシンポジウムの模様はYouTubeチャンネルで日韓同時通訳で配信され、全体で5時間以上に及ぶものだったが、日韓双方での視聴者数と、延世大の会場参加者、日本側からのZOOM参加者を合わせた参加者総数は約140人に及んだ。

展覧会について

 展覧会はコロナ防疫の観点から、完全予約による入替制をとっている。本来は土・日・公休日が休館日だが、好評に>つき、土曜日は開館し、観覧者を受け入れることになったという。

 また展覧会の模様は、ハンギョレなどの有力紙がかなりの紙幅を使って詳報している。
 「日本の百歳の巨匠の“記憶”-野蛮を暴き、弱者を抱く」(ハンギョレ、3月24日付)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/music/987975.html

 なお、12日のシンポジウム予稿集PDFは延世大学博物館HPからダウンロードできる。
https://museum.yonsei.ac.kr/museum/community/relics.do?mode=view&articleNo=113527
 また、当日の模様はフルヴァージョンで下記のYouTubeチャンネルから視聴できる。
https://www.youtube.com/watch?v=s9KXZxyL58g

担当:真鍋



登録種別:研究活動記録
登録日時:FriApr213:40:042021
登録者 :真鍋・藤岡
掲載期間:20210403 - 20210612
当日期間:20210312 - 20210312