Tobunken-GJS Workshop “Japanese Philosophy and the Philosophy at the University of Tokyo (The 3rd “Tokyo School” Workshop )”

GJS Workshop Report

 科研費基盤研究(B)「東京学派の研究」(研究代表:中島隆博)の活動の一環として、2019年1月22日(火)に、東京大学東洋文化研究所第一会議室において、 「日本哲学と東京大学の哲学」と題してワークショップを行いました。今回は、科研費基盤研究(B)「『哲学雑誌』のアーカイヴ化を基礎とした近代日本哲学の成立と展 開に関する分析的研究」(研究代表:鈴木泉)との共催です。
 お招きしたのは、トマス・カスリス先生(オハイオ州立大学特別名誉教授)小林康夫先生(青 山学院大学、東京大学名誉教授)でした。カスリス先生は、“The Tokyo School of Philosophy? A Prolegomenon”と題して講演をいただきました。前半では、「東京学 派」という名前に変えて、「東京流」もしくは「東京スタイル」とすべきだとのご提案があり、後半では、京都と東京の「風土」論的な「二都物語」を展開していただき ました。無論、「東京学派」は、中心のある、特定の方法論とテーマを共有する「学派」ではありませんので、「流」や「スタイル」の方がより適切であるとは思います 。ただ、「東京学派」という、すぐに批判を生みそうな概念には、何か発見的な骨太さがあるようにも思います。
 小林先生は、駒場の哲学を代表してきた4 名の哲学者(廣松渉、坂部恵、大森荘蔵、井上忠)についてお書きになった“The Komaba Quartet: A Landscape of Japanese Philosophy in the 1970s”(The Oxford Handbook of Japanese Philosophy)の元になった日本語原稿を朗読してくださいました。わたしたちの世代にとっては、まだ昨日のような出来事であったものが、若い学 生にとってはすでに歴史であり、距離を取って理解すべき対象になっていたことを思い知らされました。それでも、この4名の哲学者が建てた中心課題である「こと」も しくは「哲学すること」をどう継承するかは、今でも喫緊の課題だと思います。
 鈴木泉先生と納富信留先生には議論に深く入っていただき、「東京学派」の 定義や、坂部恵先生と井上忠先生の可能性と限界についてご議論いただきました。(中島 隆博)

Pictures of the Workshop

Organizer: The Global Japan Studies Network (GJS)

Co-organizer: Institute for Advanced Studeis on Asia (IASA)

Contact: gjs[at]ioc.u-tokyo.ac.jp