主任:森本一夫
イスラーム史上のさまざまな場に現れ研究者を悩ませる多様な「スンナ派」と「シーア派」のより適切な解釈、「両宗派混淆」とされる状況のより正確な理解を目指し、さまざまな時代や地域に生きた人々の「スンナ派」「シーア派」としての自己意識と相互認識を研究する。本研究はスンナ派概念・シーア派概念の刷新を行い、それを通じてイスラーム史研究における最新の諸課題の議論にも貢献する。自己意識と相互認識を問う本研究の新たなアプローチは、より深みのあるイスラーム史研究(学界)と「イスラーム認識」(社会)の実現に寄与する。本研究はまた、異なる自己意識や信条を持つ集団の共生という現代的な課題に関し、史実にもとづいた確たる洞察をもたらすことをも期す。
森 本 一 夫 宗派論争のなかでの「スンナ派」「シーア派」自他認識
新 井 和 広 東南アジア島嶼部のアリー裔にとっての「スンナ派」「シーア派」
河 原 弥 生 近世的宗派主義の時代における「スンナ派」「シーア派」信徒の接触
白 谷 望 アラブ世界の政治空間におけるムハンマド一族言説
杉 山 隆 一 アリー裔墓廟参詣と「スンナ派」「シーア派」
中 西 竜 也 近代中国ムスリムの間での「スンナ派」論・「シーア派」論
二 宮 文 子 南アジア「スンナ派」ムスリムにとっての「スンナ派」「シーア派」
水 上 遼 十二イマーム崇敬と「スンナ派」「シーア派」
森 山 央 朗 ハディース学と「スンナ派」「シーア派」
矢 島 洋 一 宗派的曖昧性の時代のスーフィー教団と「スンナ派」「シーア派」