主任:池本幸生
アジアにおける貧困と不平等に関する研究を、アマルティア・センのケイパビリティの概念から再検討する。所得による貧困・不平等分析は、問題とすべき課題の一部であることが多く、時には全く見当外れのこともある。場合によっては、それは人々を「貧しい者」と「豊かな者」に分け、対立を煽ることすら起こりうる。不平等や貧困を人々の暮らし(厳密には選択可能な暮らし)から捉えようとするのがセンのケイパビリティであり、この観点からアジアにおける貧困や不平等に関する研究を見直すのが本研究の目的である。
池 本 幸 生 ケイパビリティ概念について
馬 場 紀 寿 仏教と平等
平 位 匡 人間開発と幸福
濱 島 敦 博 中国における貧困と不平等
石 井 香世子 タイにおけるマイノリティの生存戦略
倉 田 正 充 バングラデシュ農村における貧困と格差
三 本 木 一 夫 コーヒーの栽培と環境
アマルティア・センのケイパビリティの概念を用い、アジアとアフリカにおける貧困問題と不平等や格差の問題の再検討を行なっている。貧困や格差の問題は単に所得の問題ではなく、人々の生き方の自由(選択の幅)の問題である。これが「ケイパビリティ」という概念によってアマルティア・センが捉えようとしたものである。本班研究では、日本を含むアジアとアフリカにおける貧困や不平等の問題を捉え直す作業を行なっている。
アマルティア・セン 『正義のアイデア』 池本幸生 訳 明石書店、2011.
アマルティア・セン 『不平等の再検討: 潜在能力と自由』 池本幸生 野上裕生 佐藤仁 訳 岩波書店、1997.