主任:菅豊
現在、世界遺産や無形文化遺産などの「遺産」をめぐる全球的政治(global politics)が活発化している。その活動の中心を担っているのが、ユネスコ(UNESCO、联合国教科文组织)である。ユネスコは、世界平和と人類共通の福祉という基本理念のもとで文化政策を展開している。しかし、その文化遺産政策は基本的に国家単位で実施されるため、とりわけ日本、中国、韓国という東アジアの国々の間で、過去の記憶や文化の所有権をめぐって摩擦や軋轢、さらには分断を引き起こしている。
本研究班では、世界遺産および無形文化遺産を取り巻く記憶や文化の所有権という課題を国際的な協働研究によって深めることで、融和に向けた新たな記憶の協働構築に文化遺産を活用するというパブリック・ヒストリー的課題について検討する。
菅 豊 文化遺産とパブリック・ヒストリー
西 村 明 戦争遺産と記憶
松 田 陽 遺産政策と記憶
塚 原 伸 治 無形文化遺産と当事者
俵 木 悟 遺産制度と記憶
陸 薇 薇 海外における中国の文化遺産
季 中 揚 無形文化遺産と記憶
李 牧 無形文化遺産と芸術学
呉 俊 文化遺産のデジタル化
王 晨 交通と文化遺産