主任:小寺敦
近年、中国大陸では出土文献が陸続と発掘されている。そうした文献の中には、盗掘され、骨董市場に流出したものも含まれており、近年その数量が急速に増大しつつある。こうした状況が、中国古代文献の成立と展開に関する研究の進展に与えた影響は計り知れないものがある。しかし、出所の曖昧な出土文献を無批判に信用して研究をすすめたり、伝世文献と出土文献の表面的な類似をとりあげて、伝世文献を安易に遡及させようとする、底の浅い研究が目立つのもまた事実である。
本研究班は、現在における出土文献研究に対する反省に立ち、文学・史学・哲学・宗教といった様々な専門分野の研究者が、出土・伝世文献について、詳細な文献批判に基づく分析など、今日利用可能な限りの方法論を用いることにより、出土・伝世文献の成立に関する研究を進めていこうとするものである。
研究を進めるにあたり、研究協力者の谷中信一が代表者をつとめる研究会と連繋する。原則として毎月1回研究会を開催し、上博楚簡をはじめとする出土資料の釈文を作成し、それに関する討論を行う。また、中国大陸等の研究機関と連繋し、出土文献に関する調査を行うことも考慮している。
海老根 量 介 楚国在地性資料の分析
大 西 克 也 出土文献における文字と言語
小 寺 敦 テキストの成立と「家族」
末 永 高 康 出土文字資料による先秦思想史の再検討
戸 内 俊 介 出土文字資料を用いた上古中国語研究
名 和 敏 光 馬王堆帛書方術関係文献研究
丹 羽 崇 史 先秦期における青銅器の研究
野 原 将 揮 出土文字資料と上古中国語音韻体系の再構
宮 島 和 也 上古中国語における書記言語の形成と展開
宮 本 徹 出土文献の音韻学的検討
谷 中 信 一 中国先秦時代地域文化の研究
呂 静 出土資料による戦国秦漢漆器をめぐる研究