主任;安冨歩
生命は、世界を認識し、自分自身を作り替えることで柔軟に対応する能力を持つ。このきわめて高度な計算は、明示的に書き下すことが不可能な過程として行われる。これを我々は「神秘」あるいは「魂」と位置づける。我々の合理性は、この神秘的な生きる力を阻害するものを解明し、解除するために用いられる。このような戦略を「合理的な神秘主義」と呼ぶ。これは魂を呪縛する植民地化過程を解明し、解除することでもあり、すなわち「魂の脱植民地化」である。
本研究では、生物・生態系・人間・社会といったさまざまの次元で、魂の植民地化/脱植民地化の過程が如何に作動するかを考察する。具体的には、さまざまの研究分野に顕在化する題材を、この観点から、自らを例外とせずに問う、という方法で研究が行われる。
安 冨 歩 創発と共生の理論、呪縛なき秩序の思想
辻 明日香 コプト教徒の魂の遍歴
深 尾 葉 子 呪縛と環境破壊
富 田 啓 一 呪縛と環境破壊
井 上 正 夫 貨幣の共生的側面の史的研究
李 昌 平 中国郷村社会の自由と創発
翟 学 偉 関係と人情のダイナミクス
冨 樫 智 内モンゴル阿拉善における創発的草原回復の研究
包 茂 紅 魂の脱植民地化と環境破壊との歴史的研究
竹 端 寛 支援における共生的価値創出の方法論樹立の研究
中 西 康 信 東アジアの歴史から近代の経済・経営を捉え直す
村 上 信 明 東アジアの歴史に見る呪縛の研究
遠 藤 拓 人 「幸福」の呪縛
江 口 恒 明 近世の御用絵師にみる魂の植民地化構造
伊 藤 謙 薬学・博物学に見る呪縛の構造
近 藤 久美子 中東の異界と神秘
〇 学内研究協力者
※ 学外研究協力者