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ハラール認証とは

諸団体や諸機関が食品や飲料、物品、サービス等について審査し、それが「ハラール」であることを認めた際に出されるものです。現在、世界各地に異なる認証機関や認証制度があります。マレーシアやシンガポールのように、政府系機関が認証を行っている場合もあれば、複数の団体・機関がそれぞれ独自の基準で審査を行い、認証を発行している場合もあります。認証機関ごとに独自の認証マークを持っています。

実は新しい制度

ハラール認証が制度として発展してきたのはここ数十年のこと。ムスリムが圧倒的多数派を占める中東地域では、周辺の市場に出回っている食品や物品は基本的にハラールであると考えられてきたため、「ハラールであることを認証する」という発想はありませんでした。一方、多くのムスリムが暮らしながらも、同時に異なる宗教や文化が混在している東南アジア地域では、「どれがハラールか」という問いがつねに抱かれてきたようです。それが実際の制度として整備され始めたのは1970年代半ば以降のこと。食品や製品に関わる科学技術の進歩や、グローバル化に伴う人や物の流れの複雑化の中で、ここ10年ほどのあいだに、日本などムスリムが少数の地域を含めて、各地で採用され始めています。

認証取得まで

ハラール認証の方法は認証機関や制度によって異なりますが、多くの場合、事前の書類審査、現地調査(工場での検査等)、団体内での検討を経て証明書とマークの発行が行われます。審査には一定の期間と費用がかかります。また、認証には通常、1年か2年の有効期限があり、随時更新することが求められます。

認証制度の例

<マレーシア>
マレーシアでは、国内のイスラーム関連の事柄を扱う「首相府イスラーム開発局」が、科学技術革新省基準局制定の認証基準に基づいてハラール認証を行っています。認証基準は対象となる物品やサービスによって複数あります。食品・飲料・レストラン・屠畜場についてはMS1500: 2009と呼ばれる基準があり、化粧品・衛生用品はMS2200:2008が、医薬品ではMS2594: 2015が基準となっています(MSとはMalaysia Standardの略です)。

食品・飲料等にかかわるMS1500: 2009は、マレーシアの官公庁や政府系宗教機関、民間の生産者・消費者団体、教育研究機関が参画して策定されました。この基準には、ある食料・飲料が「ハラール」と認められるための条件として、原材料に禁じられた動物や不浄とされる動物の一部が含まれていないこと、身体に悪影響がないこと、予備処理、製造、包装、貯蔵、輸送に際してハラール以外の飲食物から物理的に隔離されていること、食肉の場合厳密な屠殺方法によって処理されていることなど、多くの項目が示されています。

MS1500:2009で混入が禁じられた動物
(1)ムスリムの屠畜・食肉処理者による適切な屠殺方法がとられていない動物、(2)不浄とされる豚と犬、(3)獲物を殺すための牙をもつ虎、熊、象、猫、猿、(4)鉤爪のあるワシやフクロウなどの鳥、(5)病原菌を運んだり、毒をもっていたりするネズミ、サソリ、ヘビ、(6)水陸両生のワニ、カメ、カエルなど。

<日本>
日本のハラール認証機関は宗教団体の他、民間企業、NPO法人によって担われています。監査員となるムスリムの専門家や、依拠する外国認証機関によって、認証の基準は異なる場合があります。たとえば、ハナーンチョコのハラール認証機関であるNPO法人日本アジアハラール協会の場合、マレーシア政府系機関からハラールに関する講師資格を取得した監査員を置いていることや、シンガポールの宗教法人から認証機関としての認定を得ていることを特徴としています。

<「ハナーンチョコ」のハラール認証について>

ロック製菓吉村社長談
「認証を受けるにあたり、チョコレートの原材料のうち、とくに砂糖と乳化剤について、ハラールである証明を取ることに手間がかかりました。砂糖を製造する過程で、動物の骨炭を使用する事が多いのですが、これを使用しないで作られる砂糖を探すことに苦労しました。乳化剤は、動物由来でなく、大豆由来の物を使用しています。」

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