研究プロジェクト

【科学研究費基盤A】対中依存構造化と中台のナショナリズム――ポスト馬英九期台湾の国際政治経済学

研究目的


   2016年、台湾の馬英九政権は、2期8年の任期を終えた。民進党の蔡英文政権に交代したことで、これまで続いた中台間の「和解なき安定」という局面は終了することとなった。台湾が対中国関係で有している「繁栄と自立のディレンマ」の下、台湾は「繁栄重視」から「自立重視」へと舵を切ることとなる。この間、台湾ナショナリズムが若年層を中心に増大傾向となった一方で、胡錦濤から習近平に指導者が交代し、中国では官製ナショナリズムの動員が強まっている。双方の政権担当者が交代することで、レッドラインの所在が曖昧化し、不確実性が高まる見込みである。本研究は、台湾の対中依存が構造化する一方で、双方のナショナリズムが直接ぶつかる可能性を孕む中台関係の新たな展開と構造を明らかにし、その日本や地域への影響を探る。

   本研究では、①地域のパワーバランス、②ナショナリズム、③経済依存、④不確実性の4つの要素を念頭に、ポスト馬英九政権期の中台関係とその地域への影響に関して、メンバー間で適切な分業を行い、頻繁な意見交換と共有を通じて統合的な分析を進める。方法は次の通りである。①経常的な資料収集・整理に加え、台湾および中国での現地調査・聞き取り調査によって現状を正確に把握する。②台湾、中国、アメリカでの研究交流・ワークショップ、海外の専門家の招聘を通じて、異なる視点・方法論を取り入れる。③東京で定期的に研究会を開催し、分析を積み重ねていく。

★ 前計画:
  1. 繁栄と自立のディレンマ――ポスト民主化台湾の国際政治経済学(2010年度~2012年度)
  2. 和解なき安定――民主成熟期台湾の国際政治経済学(2013年度~2015年度)


研究代表者


氏名 所属 研究分野 研究分担
松田康博 東京大学東洋文化研究所・教授 東アジア国際関係、中台関係 研究統括、米中台の外交・安全保障関係

研究分担者

       
氏名 所属 研究分野 研究分担
若林正丈 早稲田大学政治経済学術院・教授 台湾近現代史 現代台湾政治、台湾のアイデンティティ政治
高原明生 東京大学法学部・教授 現代中国政治・外交 中国政治・外交
小笠原欣幸 東京外国語大学・准教授 比較政治学、台湾政治 台湾総統選挙・地方選挙
佐藤幸人 アジア経済研究所・新領域研究センター長 台湾の政治経済学分析中台経済関係
松本充豊 京都女子大学現代社会学部・教授 比較政治学、台湾政治 台湾の半大統領制、政党組織、腐敗問題
福田 円 法政大学法学部・教授東アジア国際政治史、現代中国・台湾論、米中台関係 米台関係、日台関係
家永真幸 東京医科歯科大学・准教授 中国近現代史、国際文化論 中台の文化交流
江藤名保子 アジア経済研究所・地域研究センター・東アジア研究グループ・研究員中国政治、日中関係、東アジア国際関係 中国のナショナリズム
黄 偉修 東京大学東洋文化研究所・助教 台湾をめぐる国際関係(主に中台、日台、日中)、政策過程論台湾の対中政策決定過程、中国の対外政策決定過程

連携研究者


氏名 所属 研究分野 研究分担
田中明彦 政策研究大学院大学・学長 東アジアの国際政治 台湾と東アジア
清水 麗 東京大学東洋文化研究所・特任准教授 東アジア政治外交史、日中台関係 日中台関係
益尾知佐子 九州大学・大学院比較社会文化研究院・准教授 中国の対外政策、東アジア国際関係 中国の対外政策

研究協力者

 
氏名 所属 研究分野 研究分担
伊藤信悟 みずほ総合研究所・調査本部アジア調査部中国室長兼主席研究員 中台経済関係中台経済関係

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これまでの活動


2016年度2017年度2018年度2019年度


★2016年度活動★
   
2016年活動一覧
日程 活動 内容(会議・面会・見学など)
2016年5月21日(土) 「第3分科会 セッション企画:馬英九政権の8年 ― ナショナリズムと日台関係の視点から」、日本台湾学会第18回学術大会
  • 報告者:若林正丈、松田康博
  • 司会:小笠原欣幸
  • コメンテーター:林 泉忠・中央研究院近代史研究所副研究員、柿澤未知・交流協会総務部長
2016年7月2日(土) 「台湾新政局、両岸関係、日台関係」、松田科研A座談会
  • 参加者:
    • 中国社会科学院台湾研究所訪日団:曾潤梅政治研究室主任・研究員(団長)、袁偉資料研究室主任、熊俊莉副研究員、陳詠江助研究員、胡本良助研究員
    • 松田科研A:松田康博、高原明生、小笠原欣幸、黄偉修
  • 使用言語:中国語
2016年8月2日(火) 第七回『中日関係における台湾問題』学術シンポジウム、上海
  • 上海国際問題研究院・松田科研基盤B共催
  • 使用言語:中国語・日本語
2016年8月3日(水) 台湾ビジネスマン(台商)関係の聞き取り調査、上海
2016年8月28日(日)
~9月2日(金)
台北出張
  • 蔡英文総統
  • 林碧炤総統府秘書長
  • 張小月行政院大陸委員会主任委員
  • 邱義仁亜東関係協会会長
  • 柯建銘民主進歩党立法院党団召集人
  • 蕭美琴立法委員
  • 李鴻鈞立法委員
  • 莫天虎中国国民党秘書長
  • 馬英九前総統
  • 趙春山亜太和平基金会顧問
  • 李嘉進前亜東関係協会会長
  • 公益財団法人交流協会台北事務所
2016年10月4日(火) 「台湾の安全保障・国防政策――馬英九政権の総括と蔡英文政権の展望」、松田科研基盤A座談会
  • 報告者:尾形誠(元交流協会台北事務所主任)
  • 司会:小笠原欣幸


★2017年度活動★
   
2017年活動一覧
日程 活動 内容(会議・面会・見学など)
2017年7月31日(月) 第八回『日中関係における台湾問題』学術シンポジウム、東京
2017年8月21日(月) 「蔡英文政権の大陸政策と両岸関係」、松田科研基盤A座談会
  • 報告者:蔡孟君(行政院大陸委員会主任委員弁公室主任)
  • 司会:松田康博
2017年8月27日(日)
~9月1日(金)
台北出張


★2018年度活動★
   


★2019年度活動★
   


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活動写真


2016年度2017年度2018年度2019年度


★2016年度★

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★2017年度★

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★2018年度★




★2019年度★




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研究成果  (2017.9.16)

  1. 家永真幸『国宝の政治史――「中国」の故宮とパンダ』(東京大学出版会、2017年8月)。
  2. 黄伟修「日本新安保法的实施及其对台海安全影响(邦訳:日本における安保法制の施行が台湾海峡安全保障問題に与えた影響)」『台海研究』2017年第2期(2017年6月)、69-77页。
  3. 松田康博「第1章 中国の対外行動『強硬化』の分析――四つの仮説」加茂具樹編『中国対外行動の源泉』(慶應義塾大学出版会、2017年)、9-29頁。
  4. 松田康博「蔡英文政権の誕生と中台関係の転換―『失われた機会』か、『新常態の始まり」か?―』、『問題と研究』第46巻1号(2017年1、2、3月)、183-228頁。
  5. 高原明生「仲裁判断後の南シナ海をめぐる中国外交」『国際問題』第659号(2017年3月)、4-11頁。
  6. 黄偉修「台湾の馬英九政権における大陸政策决定過程の運営に関する一考察――海峡両岸サービス貿易協定の締結を事例として」『東洋文化研究所紀要』第170冊(2016年12月)、54-86頁。
  7. 黄偉修「蔡英文政権の中台関係――政治・経済関係からの検証と展望」『東亜』第593号(2016年11月)、98-107頁。
  8. 佐藤幸人「蔡英文政権の経済および社会的課題」『東亜』第592号(2016年10月)、98-108頁
  9. 松本充豊「台湾のジレンマに挑む蔡英文政権 : 不確実性増す中台関係と『冷たい平和』」『改革者』第675号(2016年10月)、26-29頁。
  10. 高原明生「習近平政権の外交と日米中関係」天児慧、李鍾元編『東アジア和解への道 歴史問題から地域安全保障へ』(岩波書店、2016年9月)、123-138頁。
  11. Akio Takahara,“The American Factor in Japan—China Relations,”Bo Zhiyue eds., China—US Relations In Global Perspective, New Zealand: Victoria University Press, 2016, pp. 145-152.
  12. 田中明彦「日本の国際協力とアジア外交」『日本貿易会月報』第750号(2016年9月)、30-34頁
  13. 黄偉修「蘇起著『 両岸波涛二十年紀実』」『アジア研究』第63巻第3号(2016年7月)、113-119頁。
  14. 田中明彦「国際政治の『圏域』分化とサミット外交」『外交』第38号(2016年7月)、84-88頁。
  15. 松本充豊「台湾・新政権の対外政策について」『CISTEC journal』第164号(2016年7月)、121-133頁。
  16. 小笠原欣幸「2016年台湾大选分析」『台湾研究』2016年第3期(2016年6月)、1-20页。

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