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東文研セミナー 「米中貿易摩擦が中国大陸にある台湾系企業の発展に与える影響の予測と対応」(伍湘陵 寧波大学商学院講師)が開催されました

報告

  2019年1月29日(火)、訪問研究員として来所中の伍湘陵・寧波大学商学院講師をお迎えして、講師日本台湾学会定例研究会および科学研究費基盤A「対中依存構造化と中台のナショナリズムーポスト馬英九期台湾の国際政治学ー」(代表:松田康博)との共催による、「米中貿易摩擦が中国大陸にある台湾系企業の発展に与える影響の予測と対応(中美贸易摩擦对中国大陆台商企业发展影响评估及应对)」と題する東文研セミナーが開催された。

  伍湘陵講師は、米中間が2018年から拡大し続ける貿易をめぐる対立を、相手を徹底的に潰す戦争ではないとして、摩擦と定義し、経済貿易という視点で分析を展開した。台商(台湾出身の企業、ビジネスマン)は2000年代から中国大陸での投資を拡大し、馬英九政権期に金額のピークを迎え、中国大陸への投資金額と規模もほかの国へのよりも多い。そのため、中国大陸とのサプライチェーンを形成している台湾のIT産業は米国による関税引き上げから最も強い衝撃を受けている。

  ただし、台商は大陸における巨大な市場と成熟したサプライチェーンに引き寄せられたため、電力供給をはじめ投資環境が改善されていない台湾に戻ろうとしない。台湾の民衆が大陸で投資、就学、就業や起業した際に優遇を与える、大陸の企業や民衆と同等の待遇を得られるとする31項目の措置(恵台31条)の発表によって、台商も「シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード(一帯一路)」などの国家主要プロジェクトに参画しやすくなった。また、コメンテーターの佐藤幸人・アジア経済研究所新領域研究センター長、伊藤信悟・国際経済研究所主席研究員のコメント、質問に対し、伍講師は、米国が知財と安全保障などを理由として中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)への制裁は政治的な目的によるものであると分析している。さらに、これまで大陸で投資した多くの台商が労働集約型産業であるため、米中貿易摩擦だけではなく、大陸の投資環境おとびグローバル化の変化の流れに対応するために、資本・技術集約型産業などへ転換すべきであるとも指摘した。約10名の参加者があり、活発な議論が展開された。

(記録:黄偉修)

当日の様子

開催情報

【日時】 2019年1月29日(火) 18:00-19:30

【場所】 東京大学東洋文化研究所3F大会議室

【講演者】 伍湘陵 寧波大学商学院講師 (東洋文化研究所訪問研究員)

【題目】
米中貿易摩擦が中国大陸にある台湾系企業の発展に与える影響の予測と対応
(中美贸易摩擦对中国大陆台商企业发展影响评估及应对)

【コメンテーター】 佐藤 幸人(アジア経済研究所)

【司会】 松田 康博(東京大学)

【言語】 中国語(質疑応答で日本語/中国語の通訳サポートがあります)

【サマリー】
中美贸易摩擦暂处协商缓和阶段,但中美贸易摩擦所带来的不确定性影响早已提前到来,并且远远超出两国经济社会发展范围,波及到全球经济的继续复苏和增长。那么在中美贸易摩擦中,中国大陆台商企业应做如何决策?目前社会上有出现“观望说”、“东归说”、“西进说”、“南向说”等多种观点。在分析相关观点前,必须明确台商企业特殊的“游牧式”经营理念与外贸导向型的生产方式在中美贸易摩擦中将受什么具体影响?影响有多大?同时台商企业自身应做如何应对?这些问题是本次演讲主要探讨的议题。

備考:本セミナーは、日本台湾学会定例研究会および科学研究費基盤A「対中依存構造化と中台のナショナリズムーポスト馬英九期台湾の国際政治学ー」(代表:松田康博)研究会との合同開催となります。

担当:松田



登録種別:研究活動記録
登録日時:MonFeb414:46:252019
登録者 :松田・黄・藤岡
掲載期間:20190129 - 20190429
当日期間:20190129 - 20190129