外部資金による研究

文部科学省・日本学術振興会科学研究費による研究調査

当研究所の教員が研究代表者を務める文部科学省・日本学術振興会科学研究費研究課題の一覧です。

 


園田 茂人
基盤研究(A)
時系列データの蓄積から社会変動モデルの構築へ:中国第三次四都市調査の挑戦 (2013~2016年度)

 概 要 

研究分担者
なし
研究の目的
 中国の台頭が世界的に注目されている今、その社会変動の実相について、長期的かつ実証的な視点に立った分析が望まれている。
 申請者は、中国の二時点での四都市調査(天津、上海、重慶、広州)を実施したが、今回は第三次調査を実施し、三時点での調査データに基づく中国の社会変動モデルの構築を目指す。調査にあたっては、前二回同様、同じ地点で同じサンプリング方法を用い、各都市1000サンプル採取する。
 データ採取後、今までの2時点データとマージして統合データを作成し、データの公開を進めることで広く研究者による分析を促すよう工夫する。
 また世界各地の中国研究機関(台湾の中央研究院や韓国のアジアセンターなど)と連携し、本データを利用したセミナーを実施し、中国社会の変動を分析・解釈できる世界的ネットワークを構築したい。そうすることが、世界の中国研究をリードしてきた日本の使命であると考えるからである。



 
 


長澤 榮治
基盤研究(A)
イスラーム・ジェンダー学構築のための基礎的総合的研究(2016〜2019年度)

 概 要 

研究分担者
後藤絵美,村上薫,松永典子,黒木英充,岩崎えり奈,服部美奈,岡真理,臼杵陽,山岸智子,嶺崎寛子,鷹木恵子,小林寧子
研究の目的
 今日の中東・イスラーム地域は、革命・内戦・難民などの諸問題を抱えているが、それらをより深く構造的に分析するためにはジェンダーの視点が不可欠である。とくにイスラームにとってのジェンダー的公正という問題を軸に、文化・政治・開発などの諸側面を学際的に研究することが重要な課題となっている。本研究は、(1)従来、個別に行われてきた当該地域のジェンダー研究をまとめ上げ、(2)かつ広範囲の研究領域にジェンダー視点の導入を促進することで、(3)イスラーム・ジェンダー学という新しい研究分野の構築に向けた基礎固めを目的とする。具体的には、イスラームとジェンダー的公正をめぐる社会的動態の考察、ジェンダーの視点からの政治研究の再検討、広義の「開発」におけるジェンダー問題と実践という三点を主要課題とし、総合的に研究していく。



 


松田 康博
基盤研究(A)
対中依存構造化と中台のナショナリズム―ポスト馬英九期台湾の国際政治経済学―(2016〜2019年度)

 概 要 

研究分担者
 田中明彦,黄偉修,高原明生,松本充豊,福田円,小笠原欣幸,若林正丈,佐藤幸人,家永真幸
研究の目的
 2016年、台湾の馬英九政権は、2期8年の任期を終えた。民進党の蔡英文政権に交代したことで、これまで続いた中台間の「和解なき安定」という局面は終了した。台湾が対中国関係で有している「繁栄と自立のディレンマ」の下、台湾は「繁栄重視」から「自立重視」へと舵を切ることとなる。この間、台湾ナショナリズムが若年層を中心に増大傾向となった一方で、胡錦濤から習近平に指導者が交代し、中国では官製ナショナリズムの動員が強まっている。双方の政権担当者が交代することで、レッドラインの所在が曖昧化し、不確実性が高まる見込みである。本研究は、台湾の対中依存が構造化する一方で、双方のナショナリズムが直接ぶつかる可能性を孕む中台関係の新たな展開と構造を明らかにし、その日本や地域への影響を探る。 本研究では、①地域のパワーバランス、②ナショナリズム、③経済依存、④不確実性の4つの要素を念頭に、ポスト馬英九政権期の中台関係とその地域への影響に関して、メンバー間で適切な分業を行い、頻繁な意見交換と共有を通じて統合的な分析を進める。



 
 


松田 康博
基盤研究(B)
和解なき安定―民主成熟期台湾の国際政治経済学― (2013~2015年度 ※基金部分のみ 〜2016年度)

 概 要 

研究分担者
 高原明生、若林正丈、小笠原欣幸、松本充豊、家永真幸、黄偉修
研究の目的
 本研究は、2008年以降、「和解なき安定」というべき関係に転換した中台関係の構造を明らかにする。台湾が直面する課題は非常に困難なものである。台湾との統一を国家目標とする中国がますます強大化し、他方、台湾に武器を売却してくれる唯一の国アメリカも中国への配慮をしだいに顕在化させている。台湾の存在と安全は米中という二大国の政策に依存している。基本的な安全が保証されない構造の下で、台頭する中国に対して台湾の選択肢は年々狭まっている。台湾経済は、中国への依存を急速に高めている。つまり、台湾は繁栄を維持しようとすれば、対中依存を深めて自立を犠牲にしなければならず、逆に対中自立を維持しようとすれば、経済的繁栄を犠牲にしなければならないディレンマに直面している。こうした特徴が中台関係の将来をどのように変化させていくのかを明らかにしたい。



 
 


黒田 明伸
基盤研究(B)
貨幣の多元性についての国際共同研究:世界史における貨幣間分業とその比較(2014〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 なぜ貨幣の統合は進まないのか。統合は取引費用を軽減するように考えられがちだが、実際には既存貨幣間の分業を代替できないまま解消してしまうからである。貨幣間が分業関係にあるのは貨幣の質に統合しきれない差があることによる。貨幣の質は二つの指標で測ることができる。第一に、通貨のもつ匿名性と信用の指名性のどちらにどれほど振れているか。第二に、地域内の取引を媒介する貨幣と地域間の取引を決済する貨幣との関係がどれほど固定的ないしは変動的か。国際共同研究により二つの指標から世界史上の貨幣制度比較を行い上記の仮説の有効性を確かめ、その検証を通して市場・社会関係の二分論を超えた両者の相互規定性を明らかにする。



 


菅 豊
基盤研究(B)
パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 宮内泰介、市川秀之、川田牧人、中澤克昭、加藤幸治、俵木悟、北條勝貴、西村明
研究の目的
 「日常的実践において歴史とのかかわりをもつ諸行為」(保苅 2004)と定義される歴史実践は、地域や時代、そして専門家/非専門家といったアクターの属性を越えて普遍的に見られる社会・文化現象である。歴史実践は単なる「過去の回顧」ではなく、「過去との対話を通じて現在の現実世界を創造する行為」である。人びとはなぜ歴史を振り返るのか?なぜ歴史を語りたがるのか?本研究では歴史実践の契機や企図、願望、思惑、そしてその実践の技法、さらにそれが社会や個人に与える影響といった、歴史実践の民族誌的分析をまず行い、さらにパブリック・ヒストリーという観点から読み直すことによって、多様なアクターが社会に開きながら協働して、自己/他者のために、積極的に歴史実践をする可能性と課題について明らかにすることを目的としている。



 


池亀 彩
基盤研究(B)
現代インドにおけるポスト開発:媒介と協同性のポリティクス(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 田辺明生,石坂晋哉,竹村嘉晃
研究の目的
 環境破壊や資源の枯渇が顕著になりつつあるインドにおいて、これまでのトップダウン型の開発援助に限界が見え始めている。今、注目されるのは、国家や市場経済そしてグローバルな市民社会と関わりながら、地域社会の人びとが自らの生活基盤を維持・向上しようとする動きである。 本研究はこうした新たなボトムアップの動きを「ポスト開発」という視点から描写・分析する。 特に、地域社会の「協同性」のありかたを人びとが再定義することで自らの社会・文化的な位置付けを向上させようとする動き、また地域社会と国家・市場・市民社会とを新たにつなぎ直そうとする「媒介者」の役割に着目する。「ポスト開発」の具体例として環境運動、オルタナティブな 開発運動、新しい文化・宗教運動を取り上げ、現地調査を通じてその可能性と課題を検討する。



 


青山 和佳
基盤研究(C)
ペンテコステ派とパール行商ーサマが経験する21世紀の仕事と祈り(2014〜2017年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 東南アジアでは経済発展が続くとともに、宗教の復興が指摘されている。とくに貧困層に浸透したタイプの宗教は、日常生活での繁栄追求を肯定する傾向がある。一方、貧困層の生活実態を分析し、生活の質向上を目的とした開発研究では、経済発展に伴う住民の価値観の変化を前提としつつも、宗教のような非市場的活動と関連づけて論じられることは稀であった。そのため、住民自身の主体的動因や地域的文脈の考察が現実離れする場合があった。本研究は、フィリピンのミンダナオ島ダバオ市のサマ(バジャウ)移民を事例に、都市経済への参加浸透とペンテコステ派キリスト教の受容が同時期に進行したことに注目し、人びとが信仰と仕事という2軸のもとにいかに社会生活を再生産しているのか明らかにする。民族誌的調査により、客観的指標(家計活動)と当事者による意味付け(語り)の双方から分析する。これにより、経済と文化の相互関係を考えるための枠組とデータを提供する。



 


安富 歩
基盤研究(C)
中国社会の秩序生成原理の探求 〜場に立ち現れる「理」〜 (2014〜2016年度)

 概 要 

研究分担者
 高見澤 磨、深尾 葉子
研究の目的
 中国社会の秩序形成については、膨大な研究蓄積があるが、全体を統一的に理解する枠組みは提示されていない。本研究では、法学・思想・文学・歴史学・経済学・人類学・社会学などに蓄積された成果を立体的に組み合わせることで、その原理を、普遍性をもった形で取り出すことを目指す。
 特に注目するのは、道端で行われるケンカに、多くの野次馬がワラワラっと集まる、あの現象である。これを我々は「ワラワラ現象」と仮に名づけた。中国に関わるものは誰もがこの現象に気づいてきたが、この「場」に作動する論理を真剣に論じた者はいない。我々はここに注目することで、中国社会の秩序形成の本質を明らかにしうるのではないか、と直感している。



 


小寺 敦
基盤研究(C)
伝世・出土文献所見の系譜関係資料による先秦家族史の再構築(2014-2016年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 研究の目的/系譜は単に血縁を示すだけではなく、広く社会的影響を有してきた。東部ユーラシア地域におけるその起源は中国の先秦時代に遡る。本研究は研究対象を伝世・出土文献の系譜関係資料とする。伝世文献は多く汎地域的な性質をもち、出土文献は地理的限定性をもつものの伝世文献にない情報を含む。これら相互の特質に注意しつつ、王権との相互関係を考慮しながら、資料の内容に即して詳細に比較し分析する。先秦時代には文字記録媒体が金文から簡牘へと大きく変化し、また簡牘文献が激増した。この時代状況と系譜関係資料の成立とがいかなる関係をもつか、家族のありかたにどう影響を与えたかを、上記検討により解明する。そして系譜を立脚点に先秦史の時代的特質を見極め、従来の中原中心的・『史記』史観的な家族史の枠組みを組み替える契機とする。



 


池本 幸生
基盤研究(C)
ソーシャル・ビジネスによる貧困削減と社会的包摂(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 発展途上国で貧困対策として広く活用されているマイクロ・クレジットは、融資を受けることができない人々に資金を提供するものである。これまで本申請者らはバングラデシュとスペインのマイクロ・クレジットの比較を通して、マイクロ・クレジットは、金融排除の問題の解決を通して、社会的排除の問題の解決を図るものであることを明らかにしてきた。社会的包摂こそが真の目的であり、それがマイクロ・クレジットの返済率の高さをもたらしているということである。
 本研究の目的は、貧困対策にはこのような社会的包摂の側面が必要であるということをタイとベトナムの少数民族に対する貧困政策を主な事例として明らかにすることである。さらに有機農業などの他のソーシャル・ビジネスにも、少数者を社会に取り込んでいくという包摂のプロセスを伴っていることを明らかにし、ソーシャル・ビジネスには社会的包摂の要素を持っていることを示す。



 


名和 克郎
基盤研究(C)
民族の名乗りと実践の現代的変容に関する民族誌的再検討─ランと国家制度、言説、移住(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究は、極西部ネパールからインド、ウッタラーカンド州のヒマラヤ地域に住み、自言語による集団範疇「ラン」を共有する人々に焦点を当て、ほぼ2世紀にわたり国境によって分断されながらも一つの「民族」の成員だと自己認識してきた人々が、グローバルに流通する概念の影響、国家の国内少数者への政策の変遷、多くの成員のグローバルな移住とコミュニケーションの増大といった現代的状況の中で、各々の生活世界との関係において、いかに、そしてどのような文脈で、「ラン」として生きるのかを、複数の場におけるフィールドワークに基づき検討しようとするものである。「民族」を含む集団範疇に関するより包括性の高い理論的展開のための基礎作業として、「民族」を巡る複数の問題系を一つの民族史的状況の中で統合的に検討することが目指される。



 
 


チャード ロバート
基盤研究(C)
Transculturation in the Introduction of Confucian Rituals in 18th Century Japan(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究は、18世紀日本における儒教の「礼」の広範な普及について考察するものである。幕藩政権は、社会秩序の改善をねらい、家臣・領民が「孝」をはじめとする徳目を内面化するよう誘導するため、儒教儀礼を利用しようとした。「礼」は元来、中国語の概念であるが、18世紀日本の藩主等による「礼」の実施は、彼らの「礼」の理解が、中国人と根本的に異なると同時に、17世紀日本において強調された「礼」の可視的な形式とも異なることを明らかにした。「トランスカルチュレーション」の過程を通して、日本の統治者は、自らの必要にしたがって「礼」を構築した。本歴史研究は、現代において道徳的価値が理解されるときの特殊文化的な仕方に密接に関係するものである。



 
 


馬場 紀寿
基盤研究(C)
漢訳仏典を中心とした中世スリランカ仏教の研究(2016〜2019年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究は、今日の上座部仏教の起源となったスリランカ仏教の先行研究が抱えていた方法論的問題を解決するために、パーリ文献・考古資料に加えて、スリランカに関連する漢訳仏典を網羅的に調査し、中世スリランカ仏教を研究する。



 


古井 龍介
若手研究(A)
中世初期東インドにおける武力と武装集団:その性格と農村権力関係との関わり(2014〜2017年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究は、中世初期東インド諸地域における武力およびそれを担った武装集団の在り方を、同時代北インド諸地域との比較を通して多面的に考察し、それらの農村権力関係との関わりを解明することを目的とする。



 


塚本 麿充
若手研究(B)
東アジアからみた乾隆画壇の総合的研究(2014~2017年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究は18世紀に最盛期を迎えた乾隆画壇を、東アジアの視点から総合的に研究するものである。乾隆画壇の研究は、従来まで豊富な文献資料と作品を所有する台湾と中国において盛んに行われてきたが、そこには乾隆画壇が東アジア全体においてどのような影響を与えてきたのか、という視点が欠落していた。また、東京国立博物館に所蔵される(伝)木挽町狩野派模本類も、乾隆画壇の理念との密接な関係が予想されるものであるが、それらを東アジア的視点から研究したものは甚だ少なかった。本研究ではそれらの問題点から出発し、乾隆画壇の成立とその具体相を明らかにするとともに、あわせてその東アジア全域に及ぶその意味を解明しようとするものである。



 


新居 洋子
研究活動スタート支援
中国思想のグローバル化--18世紀在華イエズス会士の報告を中心に(2015〜2016年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 中国思想は古くから東アジア全体に深く浸透し、いわゆる漢文化圏を形作ってきた。とくに16世紀~18世紀には、東アジアの域をはるかに越えたヨーロッパから「西学」が中国に盛んに導入されるのと同時に、中国に関するさまざまな情報がヨーロッパへ伝播し、知識人のあいだで広く共有されるにいたる。こうした中国とヨーロッパの思想交流の主な媒介者となったのは中国で活動したイエズス会宣教師、いわゆる在華イエズス会士である。本研究では、在華イエズス会士による中国思想の翻訳と伝播を取り上げることによって、近代に入る前に展開していた中国思想のグローバル化の成果と限界の解明を試みる。具体的には次の二点を主とする。(1)在華イエズス会士が参照した漢文および満文の文献を調査し、それらの中国文献と彼らの報告との比較対照を通して、在華イエズス会士がヨーロッパに対して提示した中国思想とはいかに切り出され、意味づけられ、特徴づけられた――いわば分節化されたものなのか、明らかにする。(2)こうして在華イエズス会士が中国思想として練り上げ、伝達したものが、近代への転換期にあったヨーロッパのいかなる思潮に接続し、作用したのか検討する。



 


田中 明彦
研究成果公開促進費(データベース)
日本政治・国際関係データベース(2016年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 国際関係の専門家及び一般の利用者が、「我が国の内政・外交ならびに国際関係にかかる重要な政治文書」を瞬時に検索して利用できるよう、「専門的」且つ「世界一簡単な」検索システムを拡充強化する。今回の拡充では、現在公開中のデータに加え、特に歴史的価値の高い1920年代後半から1945年にいたる国際政治文書と一般需要の多い2000年代の国際政治文書などを作成・公開することを目的とする。すでに公開している「日本政治・国際関係データベース」(http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/)に、国際政治関連文420件・5MBのデータを作成して、公開する。無料検索システムにおいて利用できるよう整備する。



教員以外

 


小泉 龍人
基盤研究(C)
オリエント都市形成期における土器焼成技術と彩文顔料の横断的研究(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究は、前4千年紀末に世界最古の都市の生まれたオリエントにおいて、都市形成期の彩文土器の胎土や彩文顔料を理化学的に分析しながら、窯による焼成技術と顔料の調合技術の地域横断的な広がりを解明していくことを目的としている。これまで研究代表者は、オリエントの中心に位置するメソポタミア周辺において、前6〜5千年紀の銅石器時代(都市形成期)を通した土器焼成技術の発展プロセスを実験考古学的に検証してきた。本研究は、こうした研究成果を踏まえて、新たに空間的な広がりも視野にいれて、より体系的なオリエントの工芸技術の解明を目指す。本研究のねらいとして、世界最古の都市形成に関連する工芸技術の解明に向けて、メソポタミアに留まらず、近隣のアナトリア、シリア、南コーカサスなども含めて、オリエントを横断的に扱うという手法に大きな特徴がある。



 


石井 弓
若手研究(A)
中国農村のお喋りとその伝播から記憶を再考する(2012~2016年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
  研究の目的 本研究は、「中国農村のお喋りとその伝播」から「記憶」とは何かを再考するものである。申請者はこれまで中国山西省をフィールドとして中国農村における戦争記憶の調査を実施してきた。その中で、戦争が戦後生まれの村人によってあたかも体験したかのように語られる現象を多数確認してきた。都市における記憶の共有は、記念式典やモニュメントなど、これまで表象論的に論じられてきたが、識字率が低い山中の農村では、口頭によるお喋りが人々の記憶をつなぐ役割をしてきたと考えられる。そこで、本研究は「順口溜」という短い覚え歌に着目する。「順口溜」は何か出来事が起きた時に村人が想いを込めて歌い、その歌に共感した聞き手が次の歌い手となる。共感の連鎖によって伝播する点に、記憶共有の契機があると考えられる。お喋りという原始的かつ根本的な行為が、体験を超えた記憶を如何に可能とするのか、「順口溜」の伝播と中国農村の文化や習慣(雨乞い、晋劇)との関連性を踏まえつつ考察する。研究手法としてオーラル・ヒストリーを用い、記憶の共有を一人ひとりの内面から考察し、「集合的記憶」(M・アルヴァックス)を個別の記憶の総体として捉えなおす。



 


鈴木 舞
若手研究(B)
殷周青銅器銘文の字体と製作法に関する研究(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究の目的は、殷周青銅器銘文を検討材料として、文字製作という観点から、殷代青銅器の役割を再考することである。
 これまで、青銅器研究では器物本体の型式学的検討および文字そのもの或いは銘文内容の検討が主流であった。しかしながら、銘文もまた当時製作されたモノのひとつであり、その製作にも、当時の青銅器製作工房の状況や社会の状況が反映されているはずである。本研究では銘文をモノとして検討するために、考古学的な検討方法を導入する。すなわち、(1)字体に関する分類・分析、(2)レプリカ法を用いた銘文製作法に関する分析である。最後に、(3)これらから得られた結果を再確認するための鋳造実験を行う。特に先の二つの観点から銘文の系統分析を行うことにより、殷代に複数の銘文脊索系統が存在したことを立証する。これにより殷王朝から族長へという一元的な生産・配布という従来型の青銅器モデルを見直し、殷代における青銅器生産とその社会的役割について、新たなモデルを構築する。



 


平位 匡
若手研究(B)
BRICS諸国における経済成長と幸福感の関係を動機の質から読み解く(2016〜2018年度)

 概 要 

研究分担者
 なし
研究の目的
 本研究の目的は、幸福感に対する経済成長の影響をより正確に捉え、両者の対峙を克服し持続可能な暮らしぶりに向けた政策を提示することである。幸福経済学によるこれまでの部分的な理解の下では、経済成長か幸福かという二者択一の議論に陥りがちであった。これを克服するためには、経済成長が影響を与える幸福感の背後にある動機の質を探り、持続的な幸福感に要する内因的動機を高めるような政策を構築する必要がある。そこで、心理学における自己決定理論を経済成長過渡期のBRICS諸国に適用し、経済成長と幸福感の関係を動機の質から解明し、両者が共存できる社会政策を提案する。この結果は、経済成長と幸福感の乖離に直面するあらゆる国にも有効な教訓を与える。



その他の研究助成・奨学金

羽田 正
日本学術振興会 研究拠点形成事業 A.先端拠点形成型
新しい世界史/グローバル・ヒストリー共同研究拠点の構築 (2014〜2018年度)