主任:渡邊祥子
本研究は、冷戦期におけるアジア・アフリカ連帯の思想と運動を、特にアラブ地域と日本の交流に焦点を当てつつ分析する。冷戦期のアジア・アフリカ主義は、第三世界が大国に対峙する政治運動であるとともに、そのような連帯に合流するためにローカルなナショナリズムを読み替える試みであり、各国指導者や政府だけでなく、作家や社会運動組織などの非国家的主体が積極的な役割を果たしてきた。アルジェリア独立戦争(1954–62年)、パレスチナ闘争などへの関心を通じた日本とアラブ地域の文化交流は、それぞれの地域のナショナリズム思想や社会運動に大きな影響をもたらした。本研究は、アジア・アフリカ作家会議(1958–91年)などによる日本とアラブの相互交流活動に関する一次史料を読み解き、ナショナリズムと国際連帯主義の間の相克という難問に、双方の地域がどのように取り組んできたのかを歴史研究者と文学研究者の共同作業によって分析する。
渡 邊 祥 子 マグリブにおけるアジア・アフリカ主義の影響
鵜 戸 聡 マグリブを中心とするアラブと日本の文化交流
勝 沼 聡 エジプトにおけるアジア・アフリカ主義の影響
鈴 木 啓 之 日本におけるパレスチナ支援運動史
福 田 義 昭 マシュリクを中心とするアラブと日本の文化交流