『中国哲学史』を書くことは、アンヌ・チャンの『中国思想史』を翻訳出版した時からの懸案でした。とはいえ、『中国思想史』という名著の後に何かを書くことは予想以上に困難でした。世界哲学としての中国哲学という観点を持ち込むことで、なんとか乗り越えられたかという思いで今はおります。古代の諸子百家から近代の新儒家そして現代の普遍論争まで取り上げましたが、新書ですので、扱うことのできなかったものも数多くあります。いずれ包括的な『中国哲学史』が書けるとよいのですが、それは見果てぬ夢になりそうです。
まえがき |
はじめに――中国哲学史を書くとはどういうことか |
第1章 中国哲学史の起源 |
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第2章 孔子――異様な異邦人 |
第3章 正しさとは何か |
第4章 孟子、荀子、荘子――変化の哲学 |
第5章 礼とは何か |
第6章 『老子』『韓非子』『淮南子』――政治哲学とユートピア |
第7章 董仲舒、王充――帝国の哲学 |
第8章 王弼、郭象――無の形而上学 |
第9章 仏教との対決――パラダイムシフト1 |
第10章 『詩経』から『文心雕龍』へ――文の哲学 |
第11章 韓愈――ミメーシスと歴史性 |
第12章 朱熹と朱子学――新儒教の挑戦 |
第13章 陽明学――誰もが聖人になる |
第14章 キリスト教との対決――パラダイムシフト2 |
第15章 西洋は中国をどう見たのか1――一七~一九世紀 |
第16章 戴震――考証学の時代 |
第17章 西洋近代との対決――パラダイムシフト3 |
第18章 胡適と近代中国哲学の成立――啓蒙と宗教 |
第19章 現代新儒家の挑戦――儒教と西洋哲学の融合へ |
第20章 西洋は中国をどう見たのか2――二〇世紀 |
第21章 普遍論争――二一世紀 |
おわりに |
あとがき |
参考文献 |
中国哲学史 関連年表 |
人名索引 |
中島隆博 著
『中国哲学史――諸子百家から朱子学、現代の新儒家まで』
中央公論新社, 384ページ 2022年2月 ISBN: 978-4-12-102686-6
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