『「みえない関係性」をみせる』と題する本書では、「装い」「音楽」「スポーツ」「言語表現」などの文化現象に注目しました。たとえば、「装い」ひとつをとってみても、そこには、さまざまな主体が関わっています。材料の生産にたずさわる人々、制作に関わる人々、流通させる人々、着用する人々、着用を喚起したり、制限したりする人々など。本書では、そうした個々の主体ではなく、たとえば「キモノ」や「ウズベク人の装い」といった現象に光をあてることで、主体同士が織りなす関係性の網目の一端を浮かび上がらせようと試みます。そうして、これまでとは異なる、世界の見方や語り方を模索していきます。
詳細については2020年12月11日開催のグローバル関係学科研主催のBook Launchウェビナー動画をご覧ください。
http://www.shd.chiba-u.jp/glblcrss/gallery/gallery20201212_movie.html
刊行にあたって |
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I 装い |
序章 「みえない関係性」をみせる――装い・音楽・スポーツ、そして言葉……………福田 宏 |
第1章 「キモノ」表象の民族主義と帝国主義……………森 理恵 |
第2章 ウズベク人はいかに装うべきか――ポストソ連時代のナショナルなドレス・コード……………帯谷知可 |
【コラム1】 近代における男性服の日中交流――長袍馬褂と学生服……………劉玲芳 |
II 音楽 |
第3章 戦時下日本の音楽産業と軍歌レコードの受容……………辻田真佐憲 |
第4章 「ユーゴスラヴィア」の担い手としてのロック音楽……………山崎信一 |
第5章 中東のラップをめぐる力学とアイデンティティ形成――DAMの事例を中心に……………山本 薫 |
III スポーツ |
第6章 フランコ独裁とサッカーという磁場――現在に繫がるローカルでグローバルなサッカー……………細田晴子 |
第7章 サッカーを通じて見るロシアの国家と社会――二〇一八年のワールドカップを契機として……………服部倫卓 |
【コラム2】 アルゼンチンにおけるサッカーと国家・市民社会・アイデンティティ……………菊池啓一 |
IV 言葉 |
第8章 言葉が動くとき――「セクシュアル・ハラスメント」の誕生、輸入、翻訳……………後藤絵美 |
【コラム3】 アメリカのマオ……………梅﨑 透 |
福田宏,後藤絵美 編
『「みえない関係性」をみせる』
岩波書店, 244ページ 2020年11月 ISBN: 978-4-00-027058-8