「世界哲学」という新しい概念は、これまでの欧米中心的な哲学観を揺さぶりながら、その他の地域の哲学を普遍的なものに向かって開こうとする発見的な概念です。それを「世界哲学史」という歴史的な編成によって示そうとするのが、この『世界哲学史』全8巻のシリーズの意図です。「世界」、「哲学」、「歴史」という概念が問い直され、結び直されるダイナミズムが表現されるはずです。東アジア藝文書院からは、中島隆博を含めて、納富信留先生、石井剛先生に寄稿していただいております。
| 序章 世界哲学史に向けて 納富信留 |
|---|
| 第1章 哲学の誕生をめぐって 納富信留 |
| 1 枢軸の時代 |
| 2 始まりへの問い |
| 3 哲学への問い |
| 第2章 古代西アジアにおける世界と魂 柴田大輔 |
| 1 古代メソポタミア文明 |
| 2 世界 |
| 3 魂 |
| 4 学知の伝統と学識者 |
| 5 古代エジプトにおける世界と魂 |
| 第3章 旧約聖書とユダヤ教における世界と魂 髙井啓介 |
| 1 旧約聖書と「哲学」 |
| 2 世界の創造と秩序 |
| 3 人間の魂 |
| 第4章 中国の諸子百家における世界と魂 中島隆博 |
| 1 世界と魂の変容 |
| 2 スコラ哲学、修験道、そして仏教との連絡 |
| 3 儒家の世界論と魂論 |
| 第5章 古代インドにおける世界と魂 赤松明彦 |
| 1 世界哲学史の中のインド哲学 |
| 2 世界と魂について |
| 3 叙事詩における「魂について」 |
| 第6章 古代ギリシアの詩から哲学へ 松浦和也 |
| 1 哲学発祥の地としての古代ギリシア |
| 2 誰が哲学者なのか |
| 3 詩から哲学へ |
| 4 「初期ギリシア」のディレンマ |
| 第7章 ソクラテスとギリシア文化 栗原裕次 |
| 1 世界から魂へ |
| 2 民主政ポリスの哲学者ソクラテス |
| 3 魂への配慮 |
| 第8章 プラトンとアリストテレス 稲村一隆 |
| 1 古典期ギリシアの遺産 |
| 2 プラトン |
| 3 アリストテレス |
| 第9章 ヘレニズムの哲学 荻原 理 |
| 1 ヘレニズム哲学のイメージ |
| 2 ストア派 |
| 3 エピクロス派 |
| 4 懐疑派 |
| 第10章 ギリシアとインドの出会いと交流 金澤 修 |
| 1 異文化交流が実現した歴史的背景 |
| 2 ピュロンにおけるインド思想との接触 |
| 3 アショーカ王碑文における両思想の融合 |
| 4 対話篇としての『ミリンダ王の問い』 |
| コラム1 人新世の哲学 篠原雅武 |
| コラム2 黒いアテナ論争 納富信留 |
| コラム3 ギリシア科学 斎藤 憲 |
| あとがき |
| 編・執筆者紹介 |
| 年表 |
| 人名索引 |
伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留
責任編集
『世界哲学史1―古代Ⅰ 知恵から愛知へ』
ちくま新書, 320ページ
2020年1月