本書は、延世大学校文科大学長の白永瑞先生の日本語による初の単著である。韓国における中国近代史の専門家であると同時に雑誌『創作と批評』の編集主幹として長年取り組んできた研究と批評の成果が、本書に集約されている。
近代東アジアの矛盾が集約された「核心現場」から、共生に対するあらたな構想力を獲得しようとする「共感と批評としての歴史学」さらには「社会人文学」は、日本の学術界にも重要な示唆を与えることだろう。
同時代の証言者としての白永瑞を明らかにした巻末のロング・インタビューも是非御一読をお願いしたい。
プロローグ | |
---|---|
第一部 東アジア論 | |
第一章 核心現場に見いだす東アジア共生への道 | |
第二章 連動する東アジア、問題として朝鮮半島──言説と連帯運動の二〇年 | |
第三章 東アジア論と近代適応・近代克服の二重課題 | |
第四章 平和に対する想像力の条件と限界──東アジア共同体論の省察 | |
第二部 中国︲韓国︲台湾 | |
第五章 中華帝国論の東アジアにおける意味──批判的中国研究の模索 | |
第六章 変わるものと変わらないもの──韓中関係の過去、現在、未来 | |
第七章 私たちにとって台湾とは何か──韓国︲台湾関係を問い直す | |
第三部 社会人文学と批判的学問 | |
第八章 社会人文学の地平を開く──その出発点としての「公共性の歴史学」 | |
第九章 共感と批評の歴史学──東アジアの歴史和解のための提言 | |
第十章 地球地域学としての韓国学の(不)可能性──東アジアの歴史和解のための提言 | |
第十一章 「東洋史学」の誕生と衰退──東アジアにおける学術制度の伝播と変形 | |
第十二章 韓国における中国学の軌跡と批判的中国研究 | |
解説と対話 白永瑞──同時代の証言者 | |
監訳者あとがき | |
初出一覧 | |
人名索引 |