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中島准教授『共生のプラクシス』が和辻哲郎文化賞(学術部門)を受賞しました

中島隆博准教授の『共生のプラクシス――国家と宗教』(東京大学出版会、2011年)が第二十五回和辻哲郎文化賞(学術部門)を受賞しました。

和辻哲郎文化賞(学術部門)は、「和辻哲郎が専門とした哲学、倫理学、宗教、思想、比較文化といった領域での学術的水準を備えた、すぐれた論文」に与えられる賞です。

中島准教授の受賞の言葉は、以下のとおりです。


中島准教授『共生のプラクシス』が和辻哲郎文化賞(学術部門)を受賞しました

  願いということを最近よく考えるようになりました。何を思ったとか、何を行ったかではなく、その人は何を願ったのだろうかと考えるのです。ですので、この度このような大きな賞をいただくことが決まったとき、すぐに去来したのは、和辻哲郎という日本近代最大の知性は何を願っていたのだろうか、という問いでした。
  無論、私はこれまで、中国の哲学を少し研究してきたにすぎず、どちらかと言いますと、日本の哲学は敬して遠ざけてきましたので、和辻を論じることなどできようもありません。しかし、中国の哲学に入って行けば行くほど、日本の哲学がそれとの葛藤の中にあることを見過ごすわけにいかなくなってきたことも確かで、受賞作の中では偶然にも和辻の『孔子』に言及することになりました。その『孔子』において、和辻は孔子の「思想」を「叙述」することは「自分の全然興味を持たないところである」と述べています。そうではなく、孔子と弟子の「思想葛藤」の生きた場面に肉薄し、いわば孔子の願いを受け止めることが大事だと言います。それこそが、普遍性を体現した「人類の教師」である孔子に対す るふさわしい態度だというのです。
  おそらく今求められているのは、和辻が孔子に対して行ったような仕方で、和辻哲郎の願いを受け止めることではないでしょうか。つまり、和辻の「思想」を「叙述するというよりも、和辻の「思想葛藤」に迫り、その願いを最大限度の可能性において考えることです。私にそれができるかどうかはわかりませんが、この受賞をきっかけに、和辻哲郎さらには日本の哲学の願いにゆっくり近づいていきたいと思います。ありがとうございました。


中島准教授『共生のプラクシス』が和辻哲郎文化賞(学術部門)を受賞しました


東京大学出版会 内容紹介・目次:
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-010122-6.html

東京大学出版会トピック:
http://www.utp.or.jp/topics/2013/02/12/oaiyyeyyyuae25oiaaoaietheoneoiceoothth/

和辻哲郎文化賞:
http://www.utp.or.jp/topics/2013/02/12/oaiyyeyyyuae25oiaaoaietheoneoiceoothth/

中島准教授の紹介ページ



登録種別:研究活動記録
登録日時:Tue Mar 19 12:33:12 2013
登録者 :中島・研究支援担当・藤岡
掲載期間:20130319 - 20130619
当日期間:20130319 - 20130319