本講座は、東京大学東洋文化研究所が長年蓄えてきた知的ストックをもとにして、 研究所スタッフがわかりやすく解説する、アジアを知るための公開講座です。 第13 回は『アジアの流』です。 (過去に開催された公開講座の情報についてはこちらでご覧いただけます)
応募方法:以下のいずれかの方法でお申し込み下さい。(9月30日必着)
Eメールの場合、氏名および連絡先Eメールアドレスをご記入の上、希望される講演(「午前の部」、「午後の部」または「両方」)を明記して、送信して下さい。
ハガキの場合、氏名、住所(電話番号は任意)をご記入の上、希望される講演(「午前の部」、「午後の部」または「両方」)を明記して、ご郵送下さい。
受付は、午前の部、午後の部ともに定員になりしだい締め切り、それ以後到着の申し込みにのみ返信を差し上げます。なお、当日の座席は先着順です。
マクロ経済学では、なぜ国が金本位制を導入したのかを説明するのに日本が格好の例としてよく取り上げられる。金本位制によって外債発行の財政的負担削減させる、あるいは金本位制の国々との貿易を拡大するため、というのが日本における導入理由の通説である。この論文はそれらの説を否定し、新しい解釈を提示しているものである。日本の金本位制のあり方は「原罪」との関連、あるいは自国の通貨で公債を募集することが不可能であったことを明らかにし、金本位制導入のために生じた多大な財政的負担を説明している。
日本美術のなかで〈波〉を描いた絵画作品は少なくない。潮の満ち引きとともに常に形を変える波際の風景を象った「洲浜」(すはま)もまた、絵画作品のみならず装飾として制作されてきた。今回は、海辺の風景を描いた屏風絵のなかの〈波〉とともに、砂浜の情景を構成している〈松〉〈船〉など海辺における風景を散策してみたい。歌合の場などで使用された洲浜を象った洲浜台、調度や茶器に見える洲浜の意匠から「浜松図屏風」や「日月山水図」などの屏風類に至るまで見ていく。また、こうした風景は絵巻物の画中画としても描かれていることが知られているが、〈波〉について詠った和歌なども併せて考察することで、これらの洲浜の図像が担っている意味を考察する。打ち寄せる波により常に形を変える風景には神聖かつ吉祥的な意味があったと考えられるが、日本のみならず朝鮮半島においても海辺を照らす〈日〉〈月〉(太陽と月)を配する屏風絵が宮廷絵画を始め多く見出すことができるため、東アジアにおける〈波〉の絵画の受容の場にも少し目を向けてみたい。