講演概要
道徳を基礎づけるという問いがヨーロッパで喫緊の課題として登場したのは、宗教戦争の後であった。
超越者に訴えずに、いかにして道徳を基礎づけうるのか。この問いは、その後、アジアにも反射してくる。宗教か道徳か、それとも宗教も道徳もなのか。このような問題系に近代のアジアは組み込まれていったのである。
ところが、近年、ある種の巻き返しが生じ、たとえば礼のような古い規範が再評価されている。本講演では、規範をめぐる知がどのようにアジアを越えて循環しているのかを概観してみたい。
講師紹介

中国哲学と比較哲学を中心に研究をしています。日本において中国哲学は学生にはあまり人気がありませんが、ひょっとするといつか人気が沸騰するときがくるのではと夢想しています。比較哲学も苦戦していますが、これもいつか花開くときが来ると信じています。最近は、中国哲学史を書くという近代の欲望に深く取り憑かれてしまい、やや距離の取り方に困っているところです。東洋文化研究所の同僚によると、来年度にわたしは「解脱」することになっているそうで、大変楽しみにしています。
1987.3 | 東京大学法学部卒業 |
1989.3 | 東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(文学修士) |
1989.4 | 同 博士課程 進学 |
1991.3 | 同 単位未取得 中途退学 |
1991.4 | 東京大学文学部 助手 |
1996.4 | 立命館大学文学部 専任講師 |
1997.4 | 立命館大学文学部 助教授 |
2000.4 | 東京大学大学院総合文化研究科・超域文化科学専攻・表象文化論 准教授 |
2004.8 | ハーヴァード大学イエンチン研究所客員研究員(-2005.8) |
2009.3 | パリ第8大学 客員教授 |
2009.5 | 東京大学博士(学術)取得 |
2009.9-12 | ニューヨーク大学 客員教授 |
2012.10 | 東京大学東洋文化研究所 准教授 |
2013.4-7 | エアランゲン大学IKGF 客員研究員 |
2014.4 | 東京大学東洋文化研究所 教授 |
2015.9-12 | プリンストン大学 客員教授 |