概要
中国の明時代、長江を中心として、蘇州や南京を中心に個性的な都市文化が発展します。そのなかでも美しい西湖に面した杭州は、南宋時代以来の豊かな文化を継承しながら、独特の発展をとげていました。
今回取り上げるのは、藍瑛という画家です。日本でその藍瑛の名前を知ってる方はあまり多くないかもしれませんが、藍瑛の画風は子の藍孟、孫の藍濤、弟子の孫杕、章谷・章采兄弟に継承され、国内外には今に至るまで莫大な量の作品が残されています。
明朝が滅亡し、新しい清朝へと変化する社会のなかで、藍瑛は杭州に巨大な絵画の制作工房を構え、大量の作品を市場に送り出し、子や孫に囲まれて長寿を全うしました。その姿は、戦乱のなかで命を落としていった、他の文人画家たちとは、ちょっと違います。
ではなぜは藍瑛は、絵画と言うヒット商品を生み出し、市場の中で成功することができたのか、今回は、明末清初の杭州という時代と場所、そして藍瑛絵画の流通経路と特質といった側面から、その謎に迫りたいと思います。
講師紹介

中国美術史の研究。作品の様式研究を基礎におきながら、それを社会のなかで生起するものととらえ、どのように作用して東アジア社会を形成しったのかを、具体的な様相から考察することを目標としています。
1976. | 福井市生まれ |
1999. | 東北大学文学部史学科東洋・日本美術史専攻 卒業 |
2001. | 同文学研究科歴史科学専攻東洋・日本美術史 博士前期課程修了 |
2001. | 同博士課程後期入学(〜2010.3) |
2001. | 南京師範大学美術学院に留学(中華人民共和国政府奨学金給付) |
2003. | 国立台湾大学芸術史研究所に留学(中華民国教育部奨学金給付) |
2005. | 大和文華館 学芸部部員 |
2010. | 東京国立博物館 研究員 |
2011. | 東北大学 博士(文学)取得 |
2015. | 東京大学 東洋文化研究所准教授 |