メインメニュー

研究活動のご案内

News

東京大学－北京大学合同サマープログラムを実施

報告

2015年8月28日から9月6日まで東京大学－北京大学合同サマープログラムを実施した。
このプログラムは、本研究所の園田茂人教授および卯田宗平講師が企画したものである。
以下では実施内容について報告する。

北京大学はアジアの有力大学の一つで、清華大学と並び戦略的パートナーシップ関係を持つ中国の大学である。
しかし、全学レベルでのサマープログラムの実施は今までなされていなかった。
今回のプログラムは、中国でビジネスを展開している日系企業に焦点をあて、実際にどのような工夫をすることで中国市場に入り込もうとしているのか、その「適応戦略」を理解するというものである。本学と北京大学から学部生と大学院生を合わせて24名（各大学12名）を募集した。その結果、募集人数を大きく上回る応募があった。

実際の活動内容は以下の通りである。

8月28日に東大生12名が北京大に到着し、その翌日からプログラムを開始した。

8月29日には全体ガイダンスを実施した後、北京大帰泳濤副教授が日中関係の概観に関する講義を、午後には東大園田教授が日本の対中投資30年の歴史を概観した講義を行い、学生たちと討論を行った。

8月30日にはセブン・イレブン中国総本部を訪問した。総本部では、中国市場に受け入れられるための商品開発やサービスについて説明を受け、実際に店舗で日中の商品の比較調査を行なった。同日の午後には、北京で自ら起業した北京ログラス社COEから起業経験のお話をいただいた。

8月31日には北京郊外にある北京キューピー食品を訪問した。キューピー食品では、工場長から会社の概要と中国の消費者に受け入れられる食品づくりについての説明を受けた。また、工場見学や新商品の試食をするなどして、具体的な現地適応の事例を学んだ。

9月1日には、北京で成功している美容業界を代表してASAKURAビューティサロンの現地代表に来ていただき、2004年以降のビジネス展開について説明を受けた。また、メイクアップの実演を通して日中の美的感覚の違いを説明していただいた。午後には、中国における「おたく文化」の受容を示すメイド・カフェ「屋根裏」を訪問した。日本留学経験を持つ経営者に、こうしたカフェが受容されるにいたるプロセスなどについて説明を受けた。

9月2日の午前9時半から2時間半、学生たちはグループ内での討論を踏まえ、自由時間をどのような活動に充てるのか、どのような最終報告を計画しているかの報告・討論を行った。

9月4日は、在中国日本国大使館で山本恭司公使（文化担当）との歴史認識及びこれをめぐる外交交渉の話を伺い、討論を行った。引き続き、中国日本商会の五十嵐克也事務局長から日本人商工会議所の機能と活動、近年の特徴などについてレクチャーを受けた。

9月5日はプレゼンテーションのリハーサルを行った。

9月6日は、午前9時半から5つのグループによる報告会を行った。

結果的には「Proposal to 7-11 about selling 便当(lunch box) in China」、「Trends and Future ofBeauty Industry in China」、「How Can Japanese Food Brand Open Up Chinese Market and Localize Successfully? --- A Case Analysis on 白い恋人」、「How can Japanese Sake penetrate the Chinese market？」、「便利店 in 北京-Comparison of Similaritiesand Differences-」のテーマが選ばれ、20分の報告と10分の討論が行われた。
会場には、セブン-イレブン北京や朝倉美容などの訪問先の関係者、東京大学北京校友会、人民論壇の記者などがやってきて、報告を聞いて下さった。

本プログラムは、定員の12名を超える学生からの応募があり、プログラムに参加した学生が意識が高く、主体的にフィールドワークを行なったこと、何よりも各グループワークの結果報告のレベルが高かったことなどを考えると成功したといえる。とくに、今回訪問した企業での説明や活動は大変興味深く、どちらかというと研究者志向の強い学生も実物経済の動きや現地適応の具体的な方法・戦略などに強い関心を示したことからも、教育効果は高かったといえる。

開催期間中の様子

全体ガイダンスを行なう園田教授	北京大学構内の見学
セブンイレブンの商品比較調査	セブンイレブンの商品比較調査
北京キューピーの工場見学	北京キューピーの新商品試食
万里の長城にて	ASAKURAのアートディレクターによる実演.
メイド喫茶における実演の見学	在中国日本国大使館山本公使の講演
学生発表	最終報告会を終えて