2018年3月4日(日)8時より、東文研セミナー「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究—新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって」第3回(通算8回)勉強会が開催された。本セミナーは、2017年度サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」の主催によるものである。
本セミナーは、「牛の角突きの実践者と研究者による伝統講習会2―角突きを支えるための周縁的技術や知識―面綱づくり体験教室―」をテーマに進められ、小千谷闘牛振興協議会会員のみならず、その孫子、さらに角突き文化に関心をもつ地元住民が集まり、角突き文化継承に必要な面綱製作技術を、技術伝承者の指導のもと、体験しながら学んだ。
参加者より、次のコメントをいただいた。
【牛の面綱づくり講習会】
サントリー文化財団の「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」の勉強会として、小千谷闘牛振興協議会が主催で行なわれました。
まあとにかく、関係者、親子、孫、夫婦どうしの参加もあり、大盛況。闘牛会の参加メンバーで、ゲンさんのリクエストどおり「雄飛」の面綱も作ったし、来春のデビューが楽しみです。
自分的には、教えられる後継者よりも、裏テーマであった「教える側のおじいちゃん達をまずその気にさせよう。」が上手くいき、元気づけられたのが良かったと思う。(S氏談)
【じいちゃんたちにマナブ】
角突き牛の綱やハナギ、面綱といった道具はいかにしてつくられているのかをマナブ講習会に参加してきました!
自分たちで作ると愛着もより沸くし、その仲間の表情や、土俵入りし愛牛が活躍する姿を思い浮かべたりとワクワクも増す。やはり協同は楽しい。
叔父さんなんて「新しい牛の面綱つくらんばならん」なんていきなり言い出したりしちゃって、角突きボルテージも上がりに上がりまくってしまいました!(H氏談)
日時:2018年3月4日(日)8:00―15:00
会場:新潟県小千谷市東山住民センター(新潟県小千谷市大字南荷頃2666-1)
http://www.city.ojiya.niigata.jp/site/shisetsu-map/shisetsu-13.html
勉強会のテーマ:「牛の角突きの実践者と研究者による伝統講習会2―角突きを支えるための周縁的技術や知識―面綱づくり体験教室―」
スケジュール:
8:00―15:00 サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」第3回勉強会
勉強会の趣旨
小千谷の牛の角突きをめぐって、さまざまな技術や知識が継承されている。その文化を継承するためには、牛の飼育から実際の角突きの場面にわたって、非常に多様な技術や知識を保持しなければならない。さらに、その角突きを周辺で支える技術や知識も存在する。それを保持することも重要である。しかし、実際はそのような周縁的技術の継承は積極的に行われていない。
たとえば、面綱の製作技術。小千谷の牛の角突きでは、闘牛場に入退場する際に、紅白黒の三色を基本とする化粧綱を、角突き牛の顔にかけるのが慣わしである。勇壮な角突き牛をもり立てるのに、その綱は欠かせない。また、この面綱は、ミニ面綱として土産品にもなり、観光客に提供されている。また、沖縄や鹿児島県徳之島といった他地域の闘牛関係者にも愛され、製作依頼が絶えない。しかし、この面綱を製作する技術を継承してきた伝承者たちが、いま、引退しようとしている。それにともない、その技術の継承が危ぶまれている。
今回の勉強会は、その伝承者たちから面綱づくりの技術と知識を学び、それを継承するために、「面綱づくり体験教室」を開催する。そこでは、小千谷闘牛振興協議会会員が中心となって、自ら映像記録やインタビューを行い、自らの伝統文化の保存を試みることを目標としている。さらに「後継者をさがすのが目的ではありません。知らない方に興味をもってもらえたらと思います。」というキャッチフレーズをもとに、牛の角突き関係者以外の人びとにも参加してもらい、その製作の面白味、工芸品としての綱の美しさに直接触れてもらうことも目標とする。
(文責・平沢忠一郎、菅豊)
コーディネーター:平沢忠一郎(小千谷闘牛振興協議会実行委員長)
菅豊(東京大学東洋文化研究所教授)
主催:
小千谷闘牛振興協議会、「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究―新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって―」プロジェクト(サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」)、日本学術振興会科学研究費補助金「パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究」(研究代表者:菅豊)、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」研究会(主任:菅豊)
担当:菅