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東文研セミナー「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究―新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって―第5回勉強会(2016年度 サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」)」が開催されました

報告

 2017年7月1日(土)19時半より、東文研セミナー「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究—新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって」第5回勉強会が開催された。本セミナーは、2016年度サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」の主催によるものである。当日は、50名ほどの地域文化活動の実践者(小千谷闘牛振興協議会会員等)や関係者が集った。
 本セミナーは、「角突き牛生産の現状と未来について生産地と一緒に考える」をテーマに進められ、前・岩手県山形村村長、前・岩手県県議会議員の清水恭一氏、清水京子氏に「南部牛・角突き牛生産の現状と課題について―生産地と消費地がともに考える」という内容で、講演を賜った。講演後、久慈市の短角牛生産の未来像、それに対する小千谷闘牛振興協議会の協力の可能性などについて、フロアを交えての活発な質疑応答、意見提言が行われた。
 翌7月2日(日)には、清水夫妻とともに岩手県久慈市の南部牛(日本短角牛)生産者たちが、小千谷の牛の角突きを観戦し、その理解を深めた。さらに同日の地域間関係者交流会を通じて、両地域が抱える問題について相互理解がなされた。

当日の様子

開催情報

日時: 2017年7月1日(土)19:30―21:00

会場: 小千谷市東山住民センター(東山連絡所)http://www.city.ojiya.niigata.jp/site/shisetsu-map/shisetsu-13.html 

勉強会のテーマ: 「角突き牛生産の現状と未来について生産地と一緒に考える」

スケジュール
1日目(7月1日)
19:30―21:00 サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」第5回勉強会
○司会・進行 平沢忠一郎(小千谷闘牛振興協議会実行委員長)、菅豊(東京大学)
○講演 清水恭一(前・岩手県山形村村長、前・岩手県県議会議員)、清水京子(主婦) 
「南部牛・角突き牛生産の現状と課題について―生産地と消費地がともに考える」

2日目(7月2日)
※12:00―15:30 小千谷牛の角突き7月場所(小栗山闘牛場)
19:00― 岩手県久慈市の南部牛生産者のみなさんとの地域間関係者交流会
会場:ホテル千景(新潟県小千谷市)

講演の趣旨
 越後の牛の角突きでは、古くは岩手県などで飼育される「南部牛(現在の日本短角牛)」を用いることが、その基本とされてきた。今から約200年前に著された『南総里見八犬伝』にも、二十村郷の「牛は南部の牧(まき)多かり」とあるように、角突きで使われる牛の大半が南部産の牛であった。そういったなか、現在でも新潟・小千谷では角突き牛を自ら繁殖生産せず、岩手県などよそで生み出された子牛を購入して、一人前の角突き牛として育て上げることを基本としている。つまり、越後の牛の角突きと牛の生産地とは不可分の関係にあり、両者は緊密につながっているということである。当然、牛の生産地の動向は、牛の角突きの動向に大きな影響を与える。踏み込んでいうならば、南部の生産者の方々が抱えている問題は、すなわち小千谷で角突きを継承する私たちの問題でもあるのだ。
 牛の角突き文化を発展させ、それを未来に継承するためには、角突きを行う新潟・小千谷で闘牛を取り巻く問題を理解するとともに、遠く離れた産地の状況をも十分に理解し、一緒に考えていくことが大切である。本勉強会では、数百年の長きにわたって、牛をめぐって結ばれてきた新潟と南部の絆の歴史に思いを馳せ、南部牛生産の現状、それが今直面している課題、将来への展望などを、小千谷闘牛振興協議会会員と南部の生産地関係者がともに語り合い、理解し合うことを目標とする。
 講演では、元・山形村村長で日本短角牛生産と地域発展に尽力なされた清水恭一氏と京子夫人をお招きし、南部牛・角突き牛生産の現状と課題についてお話しいただく。講演の後には、演者と参加者との双方向的な質疑応答の形で進行する。基本的な質問はコーディネーターが準備するが、さらに参加者から質問、意見を求めたい。小さな疑問や意見でもかまわないので、参加者には是非ご準備いただきたい。
 また、2日には南部の短角牛生産者の方々に、小千谷の牛の角突きを見学していただき、角突き終了後の地域間関係者交流会における小千谷闘牛振興協議会会員との交流を通じて、親睦を深めるとともに両地域の事情を両者で学びたい。こちらにも奮ってご参加いただきたい。

(文責・平沢忠一郎、菅豊)

コーディネーター
平沢忠一郎(小千谷闘牛振興協議会実行委員長)
菅豊(東京大学東洋文化研究所教授)

主催:
小千谷闘牛振興協議会、「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究―新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって―」プロジェクト(サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」)、日本学術振興会科学研究費補助金「パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究」(研究代表者:菅豊)、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」研究会(主任:菅豊)



登録種別:研究活動記録
登録日時:WedJul0518:19:222017
登録者 :菅・川野・藤岡
掲載期間:20170701 - 20171001
当日期間:20170701 - 20170701