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東文研・ASNET共催セミナー/着任研究会(後藤絵美助教)「「宗教国家」の内側で――ヴェールをめぐる裁判にみるエジプトの政教関係」が開催されました

日時: 2013年9月12日(木)14:00-15:30

会場: 東京大学東洋文化研究所 3階 大会議室

題目: 「宗教国家」の内側で――ヴェールをめぐる裁判にみるエジプトの政教関係

報告者: 後藤 絵美 (東洋文化研究所・助教)

司会: 長沢 栄治 (東洋文化研究所・教授)

担当: 後藤 絵美


東文研・ASNET共催セミナー/着任研究会(後藤絵美助教)「「宗教国家」の内側で――ヴェールをめぐる裁判にみるエジプトの政教関係」

【報告】
  1923年以来、エジプトの憲法には「イスラームは国家の宗教である」という一文が含まれ、1971年以降には、「イスラーム法の諸原則は立法の主たる源泉である」という言葉も加わった。イスラームを国家の宗教とし、その法の諸原則が立法の主たる源泉である国家とは、いったいどのような空間なのか。後藤氏の報告は、1980年代後半から2000年代半ばまでの三つの「ヴェール裁判」の比較を通して、この問いに答えようとするものであった。
  エジプトではとくに1980年代以降、小・中・高等学校および大学などの公教育の場で、ムスリムの女子生徒/学生によるヴェール着用が問題視されるようになった。中でも顔全体を覆う「ニカーブ」は、治安上の問題やコミュニケーションの阻害を理由に、しばしば禁止されてきた。
  そうした禁止措置に対して、それが、イスラームとその法の重要性を強調するとともに個人の自由を謳っている現行憲法に違反すると訴え出る人々があらわれた。結果として起きたのが大学の服装規定をめぐる裁判(高等行政裁判所判決は、アイン・シャムス大学が1989年、カイロ・アメリカ大学が2007年)と教育相による小中高等学校生徒の制服をめぐる裁判(最高憲法裁判所判決は1996年)である。
  本報告では、これらの裁判の最終判断にあらわれる語彙や論理の比較を通して、「国家の宗教」であり「立法の主たる源泉」とされるイスラームとその法が、さまざまな形に伸縮して解釈されてきた様子が描き出された。報告後は約20名の参加者が加わり、イスラーム法の実際上の運用や、ムスリム女性がヴェールをまとう理由、あるいは欧米諸国との比較などについて、活発な議論が行われた。


東文研・ASNET共催セミナー/着任研究会(後藤絵美助教)「「宗教国家」の内側で――ヴェールをめぐる裁判にみるエジプトの政教関係」

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東文研・ASNET共催セミナー/着任研究会(後藤絵美助教)「「宗教国家」の内側で――ヴェールをめぐる裁判にみるエジプトの政教関係」



登録種別:研究活動記録
登録日時:Tue Sep 17 12:15:21 2013
登録者 :後藤・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20130912 - 20131212
当日期間:20130912 - 20130912