〔報告〕
3月4日学術交流コンソーシアム協定による公開講演会
本研究所は、復旦大学文史研究院、プリンストン大学東アジア研究学部との間で昨年学術交流コンソーシアム協定を結び、以後活発な研究交流を実施しています。今回、この協定機関の一つである復旦大学文史研究院の葛兆光院長の本研究所ご訪問に際して下記の通り、公開講演会を開催いたしました。
タイトル: “中国”とは何処か? ――中国に関する歴史論述の再建
講演者: 葛兆光(復旦大学文史研究院長、歴史系教授)
司会者: 羽田正(東京大学東洋文化研究所長)
日時: 3月4日(金)午後3時~5時
場所: 東京大学東洋文化研究所3階大会議室
言語: 中国語(通訳あり)
本講演は1895年以降の中国という問題を起点に、“中国”に関する歴史論述の再建を意図したもので、葛兆光教授は中国内外の“中国”史研究の状況につき、歴史的経緯を踏まえつつ、具体的に紹介し、それぞれの研究動向についての見解を述べられました。テーマは(1)国別史と区域史、ワールドヒストリー:アメリカの中国史研究の傾向、“中国”としての同一性への疑問と軽視、地域間差異の過度な重視、(2)アジア史と中国史:明治以降の日本における研究傾向、(3)台湾における“同心円”理論:中心と辺境、(4)元朝と清朝に関する論争:“モンゴル時代史”および“満州族時代史”か、あるいは元朝および清朝の“中国史”か、(5)ポストモダン歴史学:想像の共同体理論やポストコロニアリズムなどの研究理論を中国史研究に適用することの可否など多岐にわたりました。講演後は、アジアにおける宗教や文化の伝播、“中国”に関する定義の歴史的変遷、文化面でのグローバル化と独自性の問題など、聴衆との間で活発な意見交換が行われました。尚、当日は本研究所の大会議室が満席になる程の大盛況で、講演会終了後も葛教授を囲んで討議が熱心に続けられ、非常に有意義な学術交流の機会となりました。
(以下、当日の様子)
※6/6のB.エルマン教授による講演会
"Rethinking of the Role of China and Japan in the Early Modern World, 1500-1850"
のご案内については、以下をご覧ください。
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/news/news.php?id=TueMar80945182011