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東文研セミナー「オスマン史研究会(第12回定例大会)」が開催されました

 今年第12回を迎えたオスマン史研究会は、前年に引き続きハイブリッド形式で開催された。今年は会場の人数制限の上限を上げ、結果的に33名の参加者が直接来場した。オンラインでは海外からも含む47名の参加があり、合計80名にのぼった。対面参加者には学部生が4名、修士課程の学生が11名含まれ、若い世代から多くの参加者を得たことは喜ばしいことであった。
 岩田氏の報告は、オスマン朝下イスタンブルの船着場周辺の社会を明らかにする博士論文の構想の一環となるもので、首都のエネルギー源となる木炭の、産地から首都への流通の仕組みと、首都の木炭商人組合の組織について明らかにしたものであった。報告に対しては、18世紀における変化や、薪の供給との関係、木炭商人の出自など多岐にわたる質問が寄せられた。
 澤井氏の報告は、氏が近年取り組んでいる16世紀オスマン帝国における飲酒・禁酒に関する研究の一部であり、1555年の禁酒令と言われているものの実態について検討したのち、ガラタ地区の飲酒行為摘発の記録が多数収録されている法廷台帳の分析を行なった。それによって、飲まれていたのは圧倒的にワインが多く、また、摘発される側にも取り締まる側にも不正規兵が多く含まれていたことが明らかにされた。質疑のなかでは、城壁内イスタンブルでの居酒屋営業は禁止されていたが、海岸と城壁の間では営業されていたことや、城壁内とそれ以外との違いなどについて議論が行われた。

開催情報

日時:2023年7月8日(土) 13:30〜17:50

会場:東京大学東洋文化研究所3階大会議室/Zoom

プログラム:
司会 秋葉淳
13:30〜13:40 司会挨拶

13:45〜15:05 岩田和馬(東京外国語大学)
「18世紀イスタンブルの木炭流通体制と木炭商人組合」

15:45〜17:05 澤井一彰(関西大学)
「飲んで捕われ、捕らえて飲んで―スレイマン1世治世末期のガラタにおける飲酒記録―」

17:20〜17:50 総合討論

担当:秋葉

2023年7月8日東文研セミナー報告2023年7月8日東文研セミナー報告


登録種別:研究活動記録
登録日時:TueJul1110:31:242023
登録者 :秋葉・多田
掲載期間:20230712 - 20230912
当日期間:20230708 - 20230708