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第2回定例研究会「都市を生きる海の民―サマのキリスト教の受容と実践」（青山和佳 准教授）が開催されました

報告

 2014年12月11日（木）、青山和佳准教授による定例研究会が「都市を生きる海の民―サマのキリスト教の受容と実践」と題して開催された。報告の前半では、フィリピンの都市サマに関する青山氏のこれまでの研究の概略が述べられ、後半では、現在の関心であるサマのペンタコステ派キリスト教の受容と実践について、研究の概要と方向性が紹介された。
 サマとは、東南アジア島嶼部に分散して居住するサマ語を話す集団のことである。人口は推定110万人で、青山氏はこのうち、フィリピンのミンダナオ島ダバオ市内に住むサマに着目し、調査を行ってきた。具体的には、不法居住区（スラム）に暮らすサマの人々について、長期フィールドワーク（1997～99年）を行い、そこで得られた社会学的調査の結果と参与観察からの知見をもとに、その経済生活と文化の関わりを論じた（その一つの成果が『貧困の民族誌―フィリピン・ダバオ市のサマの生活』東京大学出版会, 2006年である）。
 また、ミンダナオ島ダバオ市のサマ（海サマと陸サマの混合集団）の間では、もともとイスラーム志向と精霊・祖霊信仰がみられたところ、1980年代よりペンテコステ派キリスト教へ入信する者が相次いで現れ、2000年代にはその数が急激に増加するという現象が見られた。青山氏は、この現象の背景とその結果何が起こったのかを考察すべく、文献サーベイを行うとともに、宣教師・宣教団体の調査、キリスト教入信後の世帯調査、ライフヒストリーの収集などを行ってきたと報告した。一方で、2013年11月に中部フィリピンをスーパー台風が直撃し、2014年4月には調査地が全焼するという想定外で困難な状況にも直面してきたことが言及された。
 報告に続いて、約25名の参加者とともに、研究の意義をどこに置くのかという問いや、「入信」や「宗教」、「ペンテコスタリズム」という言葉を用いることの妥当性等に関して、活発な議論が行われた。

当日の様子

開催情報

日時 / Date： 2014年12月11日(木）14:00-16:00 / 2:00 - 4:00 pm on Thursday, 11th December 2014

会場 / Venue ：東京大学 東洋文化研究所 3階 大会議室 / Conference room 303 (3rd floor), Institute for Advanced Studies on Asia, The University of Tokyo

題目 / Title ：都市を生きる海の民ーサマのキリスト教の受容と実践

発表者 / Speaker ：青山 和佳（東洋文化研究所・准教授） / AOYAMA, Waka (Associate Professor, IASA)

司会 / Chairperson：髙橋　昭雄 （東洋文化研究所・教授） / TAKAHASHI, Akio (Professor, IASA)

使用言語 / Language： 日本語 / Japanese

概要 / Abstract：
 東南アジア海域世界に拡散居住するサマ人（通称バジャウ）は、従来の学術研究において「海民」として扱われてきた上に、多くはイスラーム圏を対象とするものであった。それに対して、本研究はフィリピンの都市に移住し、ペンテコステ派キリスト教を受容したサマ人の事例を取り上げる。グローバル・ペンテコスタリズム研究で知られるボストン大学CURA所長のロバート・ヘフナー教授とこの事例を検討した際の議論を振り返るとともに、火災などにより変動する調査地の現状にも触れながら、本研究の実施計画について練り直したい。

担当： 青山 和佳

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登録種別：研究活動記録
登録日時：Tue Dec 16 10:46:44 2014
登録者　：青山・後藤・野久保（撮影）・藤岡
掲載期間：20141211 - 20150311
当日期間：20141211 - 20141211