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東文研セミナー「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究―新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって―第4回(通算9回)勉強会(2017年度 サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」)」が開催されました

報告

 2018年6月9~10日、東文研セミナー「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究—新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって」第4回(通算9回)勉強会が開催された。本セミナーは、2017年度サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」の主催によるものである。
 本セミナーは、「続・角突き牛生産の現状と未来について生産地と一緒に考える」をテーマに進められ、現地視察および講演会が開催された。講演会では、下舘満吉氏(平庭観光開発株式会社代表)による講演・「山・里・海を活用した都市と農山漁村の交流~ふるさと体験学習協会の取り組み~」が行なわれた。また講演終了後には、小千谷闘牛振興協議会メンバー、いわて平庭高原闘牛会会員、南部牛生産者らによる活発な意見交換が行われた。

当日の様子

開催情報

日時:2018年6月9~10日

会場:岩手県久慈市平庭山荘、および平庭闘牛場(岩手県久慈市山形町)ほか

勉強会のテーマ:「続・角突き牛生産の現状と未来について生産地と一緒に考える」

スケジュール:
1日目(6月9日)
16:00―17:30 三上牛舎視察
18:00―19:30 講演会
○司会・進行 平沢忠一郎(小千谷闘牛振興協議会実行委員長)、菅豊(東京大学)
○講演・下舘満吉(平庭観光開発株式会社代表)
「山・里・海を活用した都市と農山漁村の交流~ふるさと体験学習協会の取り組み~」
○講演終了後、いわて平庭高原闘牛会、岩手県久慈市の南部牛生産者のみなさんとの地域間関係者交流会
2日目(6月10日)
11:30―14:00 平庭闘牛大会つつじ場所観戦
平庭闘牛場(岩手県久慈市山形町)
※山形総合支所産業建設課内・いわて平庭高原闘牛会事務局

イベントの趣旨:
 越後の牛の角突きでは、古くは岩手県などで飼育される「南部牛(現在の日本短角牛)」を用いることが、その基本とされてきた。今から約200年前に著された『南総里見八犬伝』にも、二十村郷の「牛は南部の牧(まき)多かり」とあるように、角突きで使われる牛の大半が南部産の牛であった。そういったなか、現在でも新潟・小千谷では角突き牛を自ら繁殖生産せず、岩手県などよそで生み出された子牛を購入して、一人前の角突き牛として育て上げることを基本としている。つまり、越後の牛の角突きと牛の生産地とは不可分の関係にあり、両者は緊密につながっているということである。当然、牛の生産地の動向は、牛の角突きの動向に大きな影響を与える。踏み込んでいうならば、南部の生産者の方々が抱えている問題は、すなわち小千谷で角突きを継承する私たちの問題でもあるのだ。
 牛の角突き文化を発展させ、それを未来に継承するためには、角突きを行う新潟・小千谷で闘牛を取り巻く問題を理解するとともに、遠く離れた産地の状況をも十分に理解し、一緒に考えていくことが大切である。本勉強会では、数百年の長きにわたって、牛をめぐって結ばれてきた新潟と南部の絆の歴史に思いを馳せ、南部牛生産の現状、それが今直面している課題、将来への展望などを、小千谷闘牛振興協議会会員と南部の生産地関係者がともに語り合い、理解し合うことを目標とする。
 2017年7月1日に開催された本プロジェクト第5回研究会では、南部牛の生産地から関係者を招き講演会を行い、南部牛・角突き牛生産の現状と課題について勉強した。今回は小千谷闘牛振興協議会メンバーが現地を訪れ、久慈市の闘牛見学、さらに地域間関係者交流会におけるいわて平庭高原闘牛会会員、南部牛生産者との交流を通じて、親睦を深めるとともに、両地域の事情を両者で学びたい。
(文責・平沢忠一郎、菅豊)

コーディネーター:
平沢忠一郎(小千谷闘牛振興協議会実行委員長)
菅豊(東京大学東洋文化研究所教授)

主催:
小千谷闘牛振興協議会、「地域文化活動(闘牛)に対する外部影響と、その対応に関する協働的研究―新潟県の国指定重要無形民俗文化財「牛の角突き習俗」をめぐって―」プロジェクト(サントリー文化財団「地域文化活動の実践者と研究者によるグループ研究助成」)、日本学術振興会科学研究費補助金「パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究」(研究代表者:菅豊)、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」研究会(主任:菅豊)

担当:菅



登録種別:研究活動記録
登録日時:ThuJun1410:43:252018
登録者 :菅・川野・藤岡
掲載期間:20180610 - 20180910
当日期間:20180609 - 20180610