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第4回定例研究会「朝鮮絵画の「発見現場」と鑑定システム-新出作品の紹介を兼ねて」のご案内

日時:2012年1月19日(木) 午後2時~4時
場所:東洋文化研究所 3階 大会議室
題名:朝鮮絵画の「発見現場」と鑑定システム-新出作品の紹介を兼ねて
発表者:板倉聖哲(東洋文化研究所・准教授)
コメンテータ:相澤正彦(成城大学・文学部・教授)
司会:桝屋友子(東洋文化研究所・教授)

要旨:
発表者は、2008年以来、以下のような展覧会の企画に参加した。

2008~2009年
「朝鮮王朝の絵画と日本−宗達、大雅、若冲も学んだ隣国の美」展 読売新聞
大阪本社主催 栃木県立美術館・静岡県立美術館・仙台市立美術館・岡山県立美術館
2010年
「平城遷都1300年祭特別展花鳥画 ―中国・韓国と日本」展 奈良県立美術館
2011年
「花卉草虫-花と虫で綴る朝鮮美術」展 高麗美術館
2011年
「朝鮮時代の絵画-19世紀の民画を中心に」展 日本民藝館

  事前調査やその後の調査で様々な新出作品を見出し、その成果の一部をこれらの展覧会で発表してきた。実際、日本には多くの朝鮮絵画が伝存しているが、「朝鮮絵画」としてではなく中国・日本画家の名前が冠されている場合がほとんどである。「発見」の契機は必ずしも朝鮮絵画のための調査ではなく、例えば、中国絵画調査の一環であったことも少なくない。
 本発表では、そうした「発見」の現場で得られたデータから、江戸時代以来の日本における東アジア絵画をめぐる鑑定システムを窺ってみたい。朝鮮絵画の場合、レッテルとして貼られた中国画家名は、依拠した中国絵画のスタイルよりやや遅れた時代の画家の伝称を与えられる場合が多い。江戸時代前期以降、日本では中国絵画と朝鮮絵画を結び付けた「中国」絵画史が系譜付けられていたことになる。日本画家はそれらを典拠として直接学んだ形跡が複数認められている。又、江戸時代中期以降、朝鮮絵画自体に対する評価も変化が見られるようになり、中国絵画とされたものを朝鮮絵画にリアトリビュートする例も確認できる。
 それは朝鮮絵画がそれ自体の展開の中に再定置されるようになるという過程のみの問題ではない。日本美術の作品理解の背景にそうした複雑な様相があり、それらを理解するために東アジア絵画に対する総体的かつ複眼的な視点を踏まえた上での系譜付けが必要となるはずである。ここではその具体的な例を提示したい。



登録種別:研究会関連
登録日時:ThuJan1203:45:422012
登録者 :板倉・秋山・藤岡
掲載期間:20120112 - 20120119
当日期間:20120119 - 20120119