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東文研セミナー「『九二共識』:從何來,往何去?」が開催されました

報告

東文研セミナー「『九二共識:從何來,往何去?」

 7月28日に、日本台湾学会定例研究会および科研費基盤B「和解なき安定――民主成熟期台湾の国際政治経済学」(代表:松田康博)の研究会を兼ねて、東文研セミナーが行われました。
  中台関係において、「92年コンセンサス」は馬英九政権期の中台関係を理解する上で欠かせない概念です。今回のセミナーは、この名称の発案者でもあり、馬政権初期における実践者でもあった蘇起・財団法人台北論壇基金会理事長(元国家安全会議秘書長)を招聘し、「92年コンセンサス」についての報告を依頼しました。蘇起氏は、「『九二共識:從何來,往何去?」を題して発表しました。
  蘇氏は、中台の対話メカニズムが形成してきたプロセスに基づき、「一つの中国、それぞれの解釈」(一個中国、各自表述)を「92年コンセンサス」という名称として作り出した経緯を説明した上で、中台の対話メカニズムの形成プロセスおよび中台関係の発展からみれば、「92年コンセンサス」は、首脳による「権威性のあるコミュニケーション」(権威性的溝通)、中台による「共通の政治基礎」(共同的政治基礎)、「国民党内部のコンセンサス」(党内共識)、中国に不信を与えないための「裏切らない」(不反覆)という四つの柱によって成り立っていたことを指摘しました。
  また、民主進歩党は2016年の総統選挙で政権交代を果たす可能性が高いと言われていますが、蘇氏は、民主進歩党と中国の間に前述した四つの柱が形成されていない可能性が高いことを指摘し、中国の発言からを分析すると、民進党政権が成立した後に、情況によって中国は一方的に中台の交渉・対話を中止する恐れがあるという見方も示しました。
  報告に続いて、約30名あまりの参加者とともに、中台関係について活発な議論が展開されました。

当日の様子

東文研セミナー「『九二共識:從何來,往何去?」東文研セミナー「『九二共識:從何來,往何去?」
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開催情報

日時:2015年7月28日(火) 16:00~18:00

会場:東京大学東洋文化研究所 3階303会議室(東大本郷キャンパス)

題目:「九二共識」:從何來,往何去?

報告:蘇起氏(台北論壇董事長,前国家安全会議秘書長)

司会兼コメンテーター:松田康博氏(東京大学)

使用言語:中国語(通訳はありません)

報告趣旨:
「92年コンセンサス」は馬英九政権期の中台関係を理解する上で欠かせない概念です。今回これを議論をする上で最適の人物をお招きすることになりました。蘇起氏はこの名称の発案者であり,また,馬政権初期における実践者でもありました。「92年コンセンサス」がどのように登場したのか,その含意・効能はどういうものなのか,そして「92年コンセンサス」はどこに向かうのかについて語っていただきます。


※上記研究会は日本台湾学会定例研究会(歴史・政治・経済部会)第104回を兼ねています。

担当:松田



登録種別:研究活動記録
登録日時:SunAug0916:42:172015
登録者 :松田・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20150728 - 20151028
当日期間:20150728 - 20150728