News

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

日時: 3月8日(木) 14時~15時半  
場所: 東京大学東洋文化研究所 3階大会議室
題目: 魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する
発表者: 尾﨑 文昭 (東洋文化研究所・教授) 
司会: 大木 康 (東洋文化研究所・教授)

 


報告:

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

  1996年以来、16年間にわたって本所東アジア文学の教授をつとめられた尾崎文昭先生が定年により退職されるにあたり、最終研究発表会が行われた。
  はじめに、東文研に着任以来これまで3回行ってきた定例研究会での発表を総括して、ご自身の研究の歩みをたどり、日本の中国現代文学研究において東文研が果たしてきた大きな役割について紹介された後、本題である魯迅の『故事新編』のお話に入った。
  魯迅の最後の小説集『故事新編』は、歴史に題材を取りつつも、歴史と現在が交錯し、魯迅自身が「油滑」(おふざけ)と称している、なかなかつかみどころのない小説集である。いわば「まじめな」作家魯迅という枠に収まりきらない作品であることによって、これまで多くの魯迅研究者を悩ませてきた。報告では、これまでの数多くの論者による論点を紹介整理した上で、『故事新編』の中にも、例えば史書の記述に比較的忠実で、「教授小説」の風が強い「鋳剣」の後に、歴史小説から大きくはずれた「油滑」風の「奔月」が書かれるといった具合に、極端から極端へとふりこのように振れながら作品が展開していく点、また作品中の人物すべてが批判・からかいを受けて相対化されており、作品を自己内対話の構造と見ることができるという点に、魯迅の基本的な思考様式である「多疑」性をうかがえるのではないか、そして歴史と現在を自在に行き交う叙述は、「類型化」思考というもう一つの魯迅思想の特質がそれを可能にしたのではないか、とご自身の見解を披露された。
  70名をこえる参加者があり、会場の大会議室で立ち見が出るほどの盛況であった。


尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました

尾﨑文昭教授 最終研究発表会「魯迅の小説『故事新編』についての議論を再検討する」が開催されました



登録種別:研究活動記録
登録日時:Mon Mar 12 13:09:41 2012
登録者 :大木・秋山・野久保(撮影)・藤岡
掲載期間:20120308 - 20120608
当日期間:20120308 - 20120308