日時:2009年12月13日
場所:東京大学東洋文化研究所大会議室
報告者を含め20名以上の参加者を得て開催されました(なお、 残念ながらデイヴィッド・ブラッドリー教授は来日出来ず、論文のみの参加となりました)。
<当日プログラム>
--午前中の部--
原聖(総合司会、女子美大) シンポジウム趣旨説明
藤井久美子(司会、宮崎大学) 講演者紹介
孫宏開Sun Hongkai(中国社会科学院)「中国言語社会の調和的発展についての展望」(中国語/日本語)
吉川雅之(東京大学) コメント(日本語)
討論(日本語/中国語/英語)
--午後の部その1--
原聖(司会) 講演者紹介
マティアス・ブレンツィンガーMatthias Brenzinger(ケルン大学)「言語の存続とコミュニティー(仮題)」(英語/日本語)
パトリック・ハインリヒPatrick Heinrich(琉球大学) コメント(英語/日本語)
討論(英語/日本語)
--午後の部その2--
名和克郎(司会、東京大学) 講演者紹介
デイヴィッド・ブラッドリーDavid Bradley(ラトローブ大学)「危機言語の持続力」Resilience in Language Endangerment (日本語版を司会が代読)
岩月純一(東京大学) コメント(日本語/中国語)
討論(日本語/英語/中国語)
総合討論(日本語/英語/中国語)
(事前に公開された開催趣旨)
本シンポジウムは、科学研究費補助プログラム「言語政策史の国際比較に関する総合的研究」(2009-2011年、研究代表者原聖、女子美術大学)の一環として開催される。
「言語政策史の国際比較」は、国家の法律的な施策として展開される言語関連事項ばかりでなく、それに対する国民、一般民衆の反応、さらには国家施策とは別のレベルの言語的な運動など、施策的には追認しえない言語変動をも含めた討究を目指している。本シンポジウムでは、そうした議論の基点として、言語の基礎共同体である「コミュニティー」をターゲットとして言語の存続を巡る問題を具体的に検討しつつ、標準語形成や国語教育といった国語に関する諸問題、国内的な交易語や共用語の諸問題、さらに少数言語や消滅に瀕した言語の諸問題という、それぞれ異なる3つのレベルの問題系と接合することを目指す。
具体的には、東アジア及び東南アジア大陸部の言語状況に焦点をあて、中国の少数民族の言語状況、また共用語や国語の普及状況についての研究を中国において牽引する孫宏開氏(中国社会科学院)、タイ、ベトナム、中国の国境域での少数民族の言語の復興と、国語や共用語の競合関係を長年研究しているデイヴィッド・ブラッドリー氏(オーストラリア、ラトローブ大学)の二人の報告を基調として、これらの地域の言語状況について総合的に検討するとともに、南部アフリカの少数言語の専門家で、「危機言語」に関して批判的な発言をしているマティアス・ブレンツィンガー氏(ドイツ、ケルン大学)の報告を対置することで、言語の存続に関する理論的分析をも深めることを目的としている。