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菅豊教授が北京聯合大学北京学研究基地、One Asia Foundation主催『北京学講堂:亜州文化共同体與首都比較』(北京聯合大学)で招待講演

報告

 2017年4月6日に北京聯合大学(中国・北京市)で開催された北京聯合大学北京学研究基地・One Asia Foundation主催『北京学講堂:亜州文化共同体與首都比較』において、菅豊教授による「東亜文化共同体中的非物質文化遺産相関問題」と題する招待講演が行われました。当日、この講演には60名ほどの研究者・大学院生が集まり、活発な議論が交わされました。

 

講演要旨

 現在、世界遺産や非物質文化遺産(無形文化遺産)、さらに世界記憶工程(世界の記憶)など、文化的な「遺産」をめぐるグローバル・ポリティクスが活発化している。そして、その政治は、ユネスコがその中心となって遂行されている。周知の通り、ユネスコは国連のひとつの機関であり、その活動は、国連が提唱する世界平和と人類共同の福利という基本目標を目指すものである。
  しかし、ユネスコが行う文化政策は、基本的に国家単位で申請、登録などの諸作業を行う制度となっており、その制度的な限界は、国連やユネスコが掲げる理想に反して、国家・国民間に、むしろ競争や摩擦、軋轢を生じさせている。そのような状況の下、ユネスコの本来の理念に立ち帰り、世界的な融和を目指した「遺産」制度の理解と運用(複数国申請:多国聯合申報、Multinational ICH Nominations)がなされるべきである。そのためには、現状、国家間の「分断の道具」となっている「遺産」制度を「統合の道具」へと、そして、文化を偏重する「文化中心主義」から人間生活を重視する「人間中心主義」へと転換しなければならない。非物質文化遺産は、人間生活を豊かにし、人間を幸福にするための文化資源として利用・活用・応用できるのである。

当日の様子



登録種別:研究活動記録
登録日時:MonApr1711:13:362017
登録者 :菅・川野・藤岡
掲載期間:20170406 - 20170706
当日期間:20170406 - 20170406