News

山本研究員の著書『他力の思想~仏陀から植木等まで』が刊行されました

山本研究員の著書『他力の思想~仏陀から植木等まで』

  本書は、「魂の脱植民地化叢書」シリーズの一冊として上梓されたものである。にもかかわらず、私は本論の中で、「魂の脱植民地化」という言葉を、一度も使っていない。それは、私が仏教思想を研究する中で追究してきたものが、「魂の脱植民地化」というテーマ以外の何ものでもないと考えたためで、「魂の脱植民地化」という言葉を使わなくても、愚直に私の「仏教」を論じることが、そのまま「魂の脱植民地化」というテーマに直結していることが、読者にも十分に伝わるはずだと考えたからである。
  学問の世界では、通常、「私」を主語に置いて、自分をさらけ出すような文章を書くことはタブー視される。しかし、本書では、あえて「私」という主語を多用した。こうしたスタイルでものを書くというのは、学者にとってとても勇気の要ることであり、一歩間違えれば、暴論になりかねないことは、重々承知している。
  私は本書を書くことで、自分自身を逃げ場のないところに置くことになった。しかし、それはおそらく、元来、どの分野の学者にも必要とされていたことなのである。その意味で、今回、このようなスタイルでものを書いたということは、私にとって胸のすく行為でもあった。
 本シリーズの執筆スタイルが一つのモデルとなって、学術論文の新たなスタイルが生まれていくことを、切に期待したい。
「あとがき」より抜粋
(画像クリックでamazon.co.jpの紹介ページへ)

本書の内容

  • ・龍樹、親鸞、清沢満之 らの他力思想を読みなおし、自力にこだわる現代人の精神の呪縛を解く。
  • ・著者自身が生きるためにうなづいたユニークな仏教思想史。
  • ・空思想の最高の真理が言語活動の止滅にあるとする通説を覆し、むしろ言葉のはたらきの可能性をとおして他力浄土門への発展を明かす。
  • ・西田幾多郎や鈴木大拙らに影響を与えた近代の宗教家・哲学者清沢満之の独創性・先駆性をあらためて捉えなおす。
  • ・真宗の僧侶・植木等のスーダラ節や、一世を風靡したその歌と生き方に親鸞の教えをみる。

推薦のことば

≪生きることに「東洋」も「西洋」もない。仏教を知るために、生きることの立脚点を思考するために、私は山本伸裕氏の『他力の思想』を強く推薦する≫ 哲学者・國分功一郎


amazon.co.jp

東洋文化研究所 研究員紹介



登録種別:研究活動記録
登録日時:Fri Jun 21 16:11:21 2013
登録者 :山本・野久保(撮影)・野久保
掲載期間:20130621 - 20130921
当日期間:20130621 - 20130621